2003 Fiscal Year Annual Research Report
未分化胚性幹細胞を用いた生体内分化誘導型小口径ハイブリッド型人工血管の開発
Project/Area Number |
15390421
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
神田 圭一 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (60295649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 泰秀 国立循環器病センター研究所, 生体工学部, 室長 (50250262)
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Keywords | ハイブリッド型人工血管 / ES細胞 / マウス、ヌードラット / 小口径人工血管 / 再生医療 / 血管接合具 / ポリウレタン / Hemodynamic Stress |
Research Abstract |
ES細胞を人工基材に組み込んだハイブリッド型人工血管モデルを開発し、ES細胞の循環系人工臓器への適用の可能性を検討する試みを行った。 マウスES細胞を予めVEFG存在下に分化増殖させた後、内径1.5mmのポリウレタン製人工血管内腔面に播種した。このグラフトをヌードラットの腹部大動脈に移植し、形態学的・及び免疫学的に評価した。 植え込み後2日以内に摘出したグラフト内腔面には多角形の細胞が生着していた。細胞はこの時点では典型的な血管壁細胞の形態を呈していなかったが、LacZ染色により組み込んだES細胞由来のものであることが確認できた。 さらに移植期間が長くなるとグラフトの内腔面は血栓層に覆われたが、この血栓内でもES細胞の存在が確認できた。これら細胞の一部はLacZとPCAM-1の二重染色で陽性であり、植え込み時に比べて血管内皮細胞に近い性質を持つ可能性があった。 これは植え込まれたES細胞が直接生体内で血液と力学的ストレスに曝された結果生体内でさらなる分化誘導を受け血管壁細胞に近づきつつある過程を示唆するものであった。 予備的実験を行ったモデルでは植え込み時期に伴い、内腔の血栓層が厚くなり、最終的には閉塞に陥るため1週間以上の長期開存は得られず、長期観察が不可能であった。 その後新たな構造を持つポリウレタン機材を開発し、更に接合カフのデザインを改めることにより、血栓形成が抑制され安定した移植実験が行える様になりつつある。 また同時にin vitroにおける実験系にも着手した。 本実験モデルは、循環器における生体内Hemodynamic Stress下でのES細胞の動態に対する重要な情報を与えるものと考えられる。今後更に長期観察を行うためのモデルの最適化を進め、上記結果の再現性を確認する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 神田圭一, 中山泰秀, 伊藤裕, 山下潤, 根本泰, 西田真美, 夜久均: "ES細胞の生体内Hemodynamic Stressにおける動態を観察するためのハイブリッド型人工血管モデルの開発"再生医療. Vol.3 Suppl. 92 (2004)
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[Publications] 神田圭一, 中山泰秀, 伊藤裕, 山下潤, 根本泰, 西田真美, 夜久均, 北村信夫: "ES細胞を組み込んだハイブリッド型人工血管モデル-Hemodynamic Stressによる分化誘導-"日本心臓血管外科学会雑誌. Vol.3 Suppl. 372 (2004)
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[Publications] 神田圭一, 斉藤裕子, 万木貴美, 中山泰秀, 伊藤裕, 山下潤, 根本泰, 北村信夫: "未分化ES細胞を導入した新しいハイブリッド型超小口径人工血管モデルの開発"日本胸部外科学会雑誌. Vol.51 Abstructs. 486 (2003)
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[Publications] 神田圭一, 中山泰秀, 伊藤裕, 山下潤, 斉藤裕子, 万木貴美, 根本泰, 北村信夫: "実験ツールとしてのES細胞組み込み型小口径人工血管モデル-生体内Hemodynamic Stress下でのES細胞の動態観察-"人工臓器. Vol.32(2). S122 (2003)
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[Publications] Yasuhide Nakayama, Shogo Nishi, Hatsue Ishibashi-Ueda: "Fabrication of drug-eluting covered stents with microporores and differential coating of heparin and FK506."Cardiovasc Rad Med. 4. 77-82 (2003)