2003 Fiscal Year Annual Research Report
一過性脳虚血後のサル海馬における遺伝子、蛋白および神経幹細胞の発現変化
Project/Area Number |
15390432
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山嶋 哲盛 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60135077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 智 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90283746)
向田 直史 金沢大学, がん研究所, 教授 (30182067)
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Keywords | 一過性脳虚血 / 海馬 / 神経細胞死 / アポトーシス / ネクローシス / リソソーム / カルパイン / カテプシン |
Research Abstract |
一過性脳虚血の後5日目に海馬CA1領域の錐体細胞が神経細胞死をきたすことはげっ歯類から霊長類に至るまで良く知られているが、その機序は現在なお不明である。本研究では、ニホンザルを用いて20分間の全脳完全虚血の後5日目にCA1錐体細胞に生じる神経細胞死が、アポトーシス、ネクローシスのいずれによって生じるかを明らかにすることを目的とした。 結果:虚血後のCA1錐体細胞においては虚血直後から5日目までμ-カルパインの活性化が持続しており、虚血後2、3日目に最大の活性化が見られた。活性型μ-カルパインは虚血後2日目まではリソソームに局在しており、虚血後3日目以降は胞体全体にび漫性に見られた。リソソーム膜蛋白であるLAMP-1の免疫染色性も虚血後2、3日目がリソソームに最も強く、それ以降は胞体全体に散逸しており、虚血後に活性型μ-カルパインによってリソソーム膜が損傷されたことを示唆した。虚血後にはカテプシンBとLのリソソーム外への放出が確認された。カスパーゼ3の活性化は虚血後3時間後にピークであったが、前駆体であるプロカスパーゼ3の蛋白の発現は増加しているにもかかわらず、その後は活性型カスパーゼ3のバンドはほとんど見られなくなった。しかし、CA1錐体細胞においては虚血後2、3日目をピークとしてCADの胞体から核内への局在変化が見られた。虚血後のCA1錐体細胞は光顕的に好酸性の凝固壊死を呈し、電顕的には膜の断裂像が見られた。また、典型的なアポトーシス小体は見られず、核クロマチンの点状の凝集像が見られるだけであった。さらに、DNAの電気泳動像はラダーパターンではなくスメアーパターンを呈した。 結論:霊長類においては、虚血性神経細胞死はアポトーシスではなくネクローシスによって生じること、その際カルパイン-カテプシン・カスケードがカスパーゼ3-CAD・カスケードよりも重要な働きをなすことが明らかになった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yamashima T., et al.: "Sustained calpain activation associated with lysosomal rupture executes necrosis of the postischemic CA1 neurons in primates"Hippocampus. 13・7. 791-800 (2003)
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[Publications] Yamashima T. et al.: "Vascular adventitia generates neuronal progenitors in the monkey hippocampus after ischemia"Hippocampus. (印刷中). (2004)
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[Publications] Yamashima T.: "Ca2+-dependent proteases in ischemic neuronal death - A conserved 'calpain-cathepsin cascade' from nematodes to primates"Cell Calcium. (印刷中). (2004)
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[Publications] Tonchev AB, Yamashima T, Zhao L, Okano HJ, Okano H.: "Proliferation of neural and neuronal progenitors after global brain ischemia in young adult macaque monkeys"Mol Cell Neurosci.. 23・2. 292-301 (2003)
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[Publications] Tonchev AB, Yamashima T, Zhao L, Okano H: "Differential proliferative response in the postischemic hippocampus, temporal cortex, and olfactory bulb of young adult macaque monkeys"Glia. 42・3. 209-224 (2003)
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[Publications] Popivanova BK, Koike K, Tonchev AB, Ishida Y, Kondo T, Ogawa S, Mukaida N, Inoue M, Yamashima T.: "Accumulation of microglial cells expressing ELR motif-positive CXC chemokines and their receptor CXCR2 in monkey hippocampus after ischemia-reperfusion"Brain Res.. 970・1-2. 195-204 (2003)