2004 Fiscal Year Annual Research Report
各種幹細胞の脳内移植による神経疾患の治療 パーキンソン病、脳梗塞、脊髄損傷を中心として
Project/Area Number |
15390442
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
板倉 徹 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40100995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 直之 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30301435)
大岩 美嗣 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30322374)
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Keywords | ES細胞 / 脳移植 / パーキンソン病 / 脊髄損傷 / 脳梗塞 |
Research Abstract |
本研究プロジェクトで我々は幹細胞移植を応用すべきモデル動物を作成した。パーキンソン病では6OHDA投与ラットとMPTP投与サルによるパーキンソン病モデルを開発した。特に6OHDA線条体投与による緩徐発症パーキンソン病モデルを開発し実験に応用している(Ooiwa et al, Brain Research,2002)。損傷モデルはラットを用いてクリップによる損傷作成しその後、歩行運動を分析した。脳梗塞モデルは内頚動脈内絹糸挿入法を用いた。 幹細胞は主にマウス未分化ES細胞を用いた。マウス未分化ES細胞のドーパミン細胞への分化を促進させるため、骨髄由来間質幹細胞を用いた。マウス未分化ES細胞を骨髄由来間質細胞と共培養したところ、ES細胞は高率にTuJ1,NeuNやMAP2を示す神経細胞へと分化した。さらにこの神経細胞の多くはtyrosine hydroxylase(TH)陽性のドーパミン細胞としての特徴を示した。骨髄間質細胞と共培養したES細胞をマウス脳内に移植したところ、脳内で高率に生着しドーパミン細胞へと分化した。さらに6-OHDAパーキンソン病モデルラットへの移植でアンフェタミンによる回転行動が改善した。以上の結果はES細胞から神経細胞への分化と増殖に骨髄間質細胞との共培養が有効であることを示し、将来ES細胞をヒトパーキンソン病脳に移植するときに、患者骨髄の間質細胞を採取してES細胞の分化を促進させ、パーキンソン症状を改善させることに役立つものとして注目される。 脊髄損傷には胎児脊髄をドナーとして使用した。脊髄損傷に対してES細胞と骨髄間質細胞を移植すると、ラット両後肢の運動が改善することを確認した。さらにこの改善がラット皮質脊髄路の再生によるものであることがtracerを用いた形態学的研究で明らかにされた。
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Research Products
(7 results)