2005 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素刺激による下垂体腺腫の出血機序の分子生物学的解明
Project/Area Number |
15390445
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
寺本 明 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60231445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 大蔵 日本医科大学, 医学部, 助教授 (30210701)
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Keywords | 下垂体腺腫 / 低酸素 / laminin beta chain / 下垂体卒中 / 細胞浸潤 / cDNA microarray |
Research Abstract |
本研究は下垂体腺腫の分子レベルでの浸潤機構の解明を目的とした。下垂体腺腫は、臨床上しばしば(18-28%)周辺の海綿静脈洞などの正常組織への浸潤を来たす病態を示すことが知られている。今回我々は培養下垂体腺腫細胞を低酸素状態で培養して1)cDNA microarray,2)real-time RT-PCR,3)cell invasion assayを行い、変化する遺伝子のうち、細胞浸潤と関連すると思われるfactorの遺伝子を同定し、臨床症例の免疫染色で発現と浸潤との相関を解析した。 本年度の成果ではcDNA micorarrayでは1%酸素で培養したヒト下垂体腺腫細胞ではlaminin beta2のmRNAが有意に発現増加し、real-time RT-PCRで確認した。さらにflow cytometryとWestern blottingで細胞膜分画での蛋白レベルの有意な増加を確認した。In vitro cell adhesionとcell invasionも同様に増加していた。下垂体腺腫42例の症例の蛍光免疫染色でlaminin beta 1,2,3を染色したが、いずれも各subtype間に発現の有意差はなかったが、しかしながら浸潤のgrade (Knosp grading)の高いものほどlaminin beta 2の発現のみは有意に上昇していた。同時にpituitary apoplexyの症例でも非apoplexy群に比してlaminin beta 2のみは有意に発現が高かった。従ってlaminin beta chainのうち、beta 2は低酸素マーカーと考えられ、浸潤傾向の強い腺腫ほど強く発現し、或いはpituitary apoplexyの発症に相関して発現していた。下垂体腺腫の腫瘍浸潤と下垂体卒中の背景として組織酸素分圧の低下が存在することが明らかとなった。 本研究における倫理面への配慮については今回申請した研究では既知の遺伝子配列をもとに作られたcDNA microarrayを用いるので新たにヒトの遺伝子解析研究は行わなかった。また下垂体腺腫の初代培養を試みる場合はあらかじめ患者さんの了解を文書で確認してある。
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Research Products
(6 results)