2003 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨細胞の間欠的静水圧に対する応答メカニズムの解析―軟骨再生方法の開発―
Project/Area Number |
15390464
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
久保 俊一 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (20178031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 幹浩 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (50360029)
高橋 謙治 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (30347447)
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Keywords | 軟骨細胞 / 変形性関節症 / メカニカルストレス / アポトーシス / HSP70 |
Research Abstract |
本年度は、静水圧負荷装置を用いて、メカニカルストレスが軟骨細胞のアポトーシス誘導とHSP70の発現に与える影響を検討し、変形性関節症(OA)の病態形成に関与している可能性について検討した。 ウサギ関節軟骨より軟骨細胞を単離後、アルギネートビーズに包埋し三次元培養を行った。包埋後直ちに静水圧負荷(10、15MPa、12,、24時間)を加えた群(A群)および包埋後2週間の培養を行い、同様の静水圧負荷を加えた群(B群)の2群に分けた。負荷後の軟骨細胞においてTUNEL法でアポトーシス誘導を、免疫組織染色法を用いてHSP70の発現を検討した。 A群において、アポトーシス細胞の割合は、10MPa静水圧で11.0%(12時間後)、20.4%(24時間後)であり、50MPa静水圧で14.2%(12時間後)、59.8%(24時間後)であった。一方、B群においては、軟骨細胞は周囲に豊富な基質形成を伴っており、いずれの条件においても明らかなアポトーシス細胞を認めなかった。10MPa静水圧負荷後のHSP70陽性細胞の割合は、A群11.1%で、B群35.9%であった。また、TUNEL陽性細胞はHSP70の発現を認めていなかった。 今回の実験で、細胞外基質に乏しい軟骨細胞に対して圧負荷によりアポトーシスが誘導されることが明らかとなった。また、その機序にHSP70の発現が関与している可能性が示唆された。HSP70の発現はOA軟骨細胞で上昇していることおよび過度の静水圧負荷で誘導されることが報告されている。われわれは、軟骨細胞に過度にHSP70を発現させることでNOが誘導するアポトーシスを抑制できることを報告した。これらと今回の実験結果より、細胞外基質に乏しい条件下では、静水圧負荷でHSP70の発現は誘導されない可能性が明らかとなった。このことは、OAにおける軟骨変性の病態を考える上で重要であると考える。
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