2004 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞分化因子(ODF)とその抑制因子(OCIF)発現機構のクロストークの解明
Project/Area Number |
15390465
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
須田 立雄 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90014034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 岳信 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (80245802)
高見 正道 昭和大学, 歯学部, 講師 (80307058)
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Keywords | 骨芽細胞 / 破骨細胞 / ODF / OCIF / マイクロアレイ / 発現制御 / 骨吸収 / カルシウム調節ホルモン |
Research Abstract |
骨芽細胞は、破骨細胞の分化を介して骨吸収を制御する。骨芽細胞が発現する破骨細胞分化因子(ODF/RANKL)と、その抑制因子(OCIF/OPG)の遺伝子は、カルシウム調節ホルモンによって発現が制御される。本研究では、これらの遺伝子発現を制御する細胞内情報伝達機構の解明を目的とした。 予備検討により、RANKLの発現増加とOCIFの発現減少がほぼ10時間後をピークとして同時に起きることが明らかとなった。この結果は、活性型ビタミンD_3によるRANKLとOPG遺伝子の制御は、共通の細胞内情報伝達系を介して制御されると予想された。さらに検討の結果、副甲状腺ホルモンなど他のカルシウム調節ホルモンとは異なり、活性型ビタミンD_3によるRANKLの発現誘導作用だけがタンパク質合成阻害剤によって阻害されることが判明した。従ってビタミンD_3の作用は、ある種の細胞内情報伝達因子の転写と翻訳を介するものと考えられた。 そこで、マウス骨髄由来ストローマ細胞株ST-2を用いて、活性型ビタミンD_3刺激に伴って変動する遺伝子群を、マウス転写因子のマイクロアレイによって網羅的に解析した。その結果、活性ビタミンD_3によって遺伝子発現が2倍以上増加する遺伝子としてビタミンD受容体(VDR)とIL-4受容体α(IL-4Rα)を含む5つの遺伝子、逆に1/2以下に減少するものとして血清/グルココルチコイド調節キナーゼを含む4つの遺伝子が、標的遺伝子の候補として同定された。さらに、頭蓋骨より調製した初代培養骨芽細胞を用いて、ビタミンD_3刺激で発現量の変化する遺伝子をマイクロアレイで網羅的に解析した。その結果、ST-2細胞を用いて同定されたVDRやIL-4Rαは初代培養骨芽細胞でも発現が上昇することが確認された。 活性型ビタミンD_3とIL-4は、どちらも骨代謝と密接に関係することが知られている。本研究の結果より、活性型ビタミンD_3やIL-4の作用の少なくとも一部は、骨芽細胞におけるODF/RANKLの発現上昇とOCIF/OPGの発現抑制を介する可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)