2004 Fiscal Year Annual Research Report
腎癌の予後を規定するシアル酸転移酵素の役割とその発現調節機構
Project/Area Number |
15390483
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 誠一 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80235043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 信 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70282134)
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Keywords | 腎細胞癌 / sialyltransferase / SSEA-4 / ST3 Gal II / siRNA / ACHN |
Research Abstract |
【方法】すでに、われわれはST3Gal IIがSSEA-4(MSGb5)合成酵素であることを明らかにし、腎の癌化との関連を示唆した(Saito S.et al.:J Biol Chem 278(29):26474-26479,2003)。 腎癌手術症例27例の正常組織と癌組織よりtotal RNAを抽出し、RT-PCRでST3Gal IIの発現レベルを調べた。また、MSGb5を高発現している腎癌細胞株ACHNのST3GalIIの発現調節による糖鎖構造のリモデリングを試みた。一方で、ST3Gall IIに対するantisense(AS)cDNAとmock cDNAをACHNに導入し、他方でsiRNAと、いかなる遺伝子にも影響しないdisordered siRNAを導入した細胞につきRT-PCRで糖転移酵素を定量、AS導入した細胞とsiRNA transfectantsでST3Gal IIが十分に抑制されていることを確認した後、これらの細胞を用い薄層クロマトグラフィー(TLC)、フローサイトメトリー(FACS)でMSGb5の発現の変化を調べた。更に、浸潤能の変化をTranswell Chamberにて検討し、増殖能の変化をCell counting kitを用いて検討した。 【結果】腎癌の27例の殆どで正常部に比してST3Gal IIのmRNAの増加が認められた。また、ST3Gal IIに対するAS cDNAをtransfectした細胞ではRT-PCRでmock cDNAに比して約20%の抑制を認め、siRNAを導入した細胞ではdisordered siRNAに比して約70%発現が抑制されていた。薄層クロマトグラフィーでST3Gal IIの発現レベルを抑制することでMSGb5の発現が抑制された。MSGb5低発現の細胞はコントロール細胞に比して増殖能・浸潤能ともに明らかに低下していた。Nude miceにAS cDNAとmock cDNAを導入した細胞を皮下注入して腫瘍系を測定したところ、mockでは腫瘍は明らかに大きかった。 【結論】ST3Gal IIによる糖鎖の変化はヒト腎癌細胞の悪性度に関連していることが示唆された。AS cDNAやsiRNAを利用した糖鎖解析は、癌化や分化において根本的な役割を担っている糖鎖の発見や治療の第一歩になると考えられた。
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Research Products
(1 results)