2004 Fiscal Year Annual Research Report
出産時の低酸素・虚血から胎仔脳を保護するメカニズムの解明
Project/Area Number |
15390507
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中村 彰治 山口大学, 医学部, 教授 (80112051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 義行 山口大学, 医学部, 講師 (10034927)
石川 晃教 山口大学, 医学部, 助手 (40363098)
土持 裕胤 山口大学, 医学部, 助手 (60379948)
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Keywords | 低酸素症 / 胎児 / 脳幹 / 臍帯 / NO / 脳血流 |
Research Abstract |
出産時の低酸素から胎仔脳を保護するメカニズムに、一酸化窒素(NO)が関与する可能性を検討するために、臍帯結紮時の胎仔脳でのNO動態を調べた。 実験には出産直前のラット胎仔(E21およびE22)を用いた。母体をウレタン麻酔後,下腹部および子宮壁を切開後,臍帯がつながったままの状態で胎仔を取り出し,胎仔頭部を自作の胎仔固定装置に固定した。胎仔の脳幹または大脳皮質にKO計測(NO Monitor NO-501,Intermedical)用の電極を刺入した。反対側には脳血流計測用プローブを刺入することで,脳血流とNOの変化の関係を調べた。本研究では脳内組織酸素分圧(PO_2)も計測したが,PO_2とNOの同時計測が技術的に困難なことから,NOとPO_2の変化は別々の個体で計測した。低酸素症は、外科用クリップで臍帯を10分間または20分間結紮して誘発した。 脳幹および大脳皮質NOは臍帯結紮直後または少し遅れてから緩やかに減少し始め,結紮中は緩やかに減少し続けた。結紮解除後にはNOは増加した。結紮前中後のNOレベルは、NO合成酵素活性阻害薬であるL-NAMEの前投与(50mg/kg,i.p.)によってほとんど影響されなかった。このことは,本実験でのNOの産生は,NO合成酵素以外のメカニズムによるものであることを示唆する。本年度の実験では、結紮によって脳幹PO_2が上昇する例が見られなかった。 臍帯結紮時のNOレベルの低下の意義は不明であるが、NOの産生に使われるO_2を減らして、低酸素時のO_2減少を低くするようなメカニズムが働いている可能性はある。しかし、今回の結果から、NOの減少が低酸素時の胎仔脳の保護に関与しているかどうかに関して明確な結論を得ることはできなかった。
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Research Products
(1 results)