2004 Fiscal Year Annual Research Report
PETを用いた耳鳴の中枢作用機序の解明と対策の立案
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15390518
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久保 武 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30107031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 洋 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80362698)
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Keywords | 人工内耳 / 耳鳴 / Positron emission tomography / H_2^<15>O / ^<11>C-flumazenil / 後抑制 / 盲聾患者 |
Research Abstract |
耳鳴りを有する人工内耳患者3名に対して、耳鳴時(安静)・音刺激時(刺激提示装置からホワイトノイズ音を提示)・耳鳴後抑制時(刺激音を止めた直後)における脳血流画像を撮影し、同時に耳鳴を自覚しない健常者6名においても同様の撮影を行った。平成16年度に入り、最新の解析ソフトであるSPM2を使用して撮影画像を詳細に解析したところ、患者群においては、耳鳴後抑制時に右側頭葉前部の脳血流が増加し、小脳の脳血流が減少していた。一方、健常者群においては有意な脳血流の変化を認めなかった。右側頭葉前部は非言語性聴覚情報の処理に、小脳は注意・認知機構と関係すると考えられている。リドカインやマスキングノイズによる耳鳴抑制に関与する脳部位は解析が行われたが、耳鳴後抑制に関する脳活動は解明されていない。 平成16年度に入り、flumazenil(ベンゾジアセピン受容体拮抗薬)合成・標識系の設計を行った。当該薬剤を用いたPET検査に関しては大阪大学内に設置された倫理委員会の承認が必要であるため、倫理委員会の承認を待っているところであるが、現時点では当該薬剤を用いた研究に対する承認は得られていない。許可を得てから開始する薬剤合成には長期間必要であり、今年度内には人工内耳患者及び健常者を用いた測定には至らない見込みである。そこで、髄膜炎により中途全盲・全聾となった患者の解析を行い追加実験とした。指文字認識中の脳活動を、PETを用いた脳血流測定、及びMEG(脳磁図)を用いて測定し結果を英文誌に発表をした。平成16年度は、この患者の人工内耳を通じた言語音提示を行いPET測定を行った。この例では、人工内耳による耳鳴減弱効果が他の人工内耳装用の耳鳴り患者と異なることが予想されるため、耳鳴の脳機能について深い理解が得られるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)