2004 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障の視神経障害と神経細胞死の病態機構の解明に関する研究
Project/Area Number |
15390526
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
阿部 春樹 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40018875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 茂 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90228445)
福地 健郎 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (90240770)
白柏 基宏 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (50242417)
上田 潤 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員
八百枝 潔 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員
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Keywords | ミトコンドリア / シトクロームC / カスパーゼ3 / アポトーシス / ATP / 軸索輸送障害 / 緑内障性視神経障害 / ラット |
Research Abstract |
ラット眼圧上昇モデルを用い、急性モデルの視神経乳頭、網膜でシトクロームC及び活性型カスパーゼ3に対する免疫染色とTUNEL染色を行い、また慢性モデルの視神経乳頭でミトコンドリアの微細形態学的変化を観察した。ウイスター系ラット30匹60眼を用い、慢性モデルは、既報のごとく墨汁を片眼前房内に注入、炭素粒子でマーキングされた線維柱帯を1週毎に直接光凝固した。3ヶ月目に視神経乳頭を透過電顕で観察した。一方、初回光凝固の直後に粘弾性物質を前房内注入し、30mmHg以上の高眼圧が7日以上持続する急性モデルを作製した。1、3、7日後に灌流固定し、シトクロームC、及び抗活性型カスパーゼ3のポリクローナル抗体を用いたS-ABC法による免疫染色と、TUNEL法による神経節細胞死の検出を行った。慢性モデルの視神経乳頭の軸索中には、腫大してクリステが消失しinclusion bodyを内包した、多数の変性ミトコンドリアの散在を認め、外膜の一部に破綻が見られた。急性モデルでは、眼圧上昇後1日目にはシトクロームC陽性の不均一な顆粒状の構造が視神経乳頭近傍に多数集積し、網膜神経線維層では活性型カスパーゼ3の活性が上昇していた。また、3日目からTUNEL陽性の網膜神経節細胞が認められた。緑内障モデルにおける網膜神経節細胞死に先だってカスパーゼ3の活性化と、視神経乳頭でのミトコンドリアの破壊、集積が確認され、軸索輸送障害から緑内障性視神経障害に至る過程にミトコンドリアが関与していることが示された。虚血によるATPの供給低下は、それ自体軸索輸送障害の原因となるばかりでなく、集積したミトコンドリアの破綻による更なるATP産生の低下がこの病態を加速し得る。正常眼圧緑内障における眼圧に対する易障害性に、この様なメカニズムが関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)