Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥 英弘 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (90177163)
杉山 哲也 大阪医科大学, 医学部, 講師 (20298764)
今村 裕 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20276215)
中村 直登 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (40227921)
足立 哲夫 岐阜薬科大学, 臨床薬剤部, 教授 (40137063)
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Research Abstract |
加齢黄斑変性の病因として,種々の酸化ストレスの関与が指摘されている。まず,酸化ストレスとEC-SODの関連を調べるための予備実験として,酸化ストレスがヒト血管内皮細胞に与える影響を検討した。ヒト皮膚血管内皮細胞を培養し,加齢に伴い体内に蓄積される後期糖化最終産物(AGE)や3-deoxyglucose(3-DG)によって酸化ストレスを作用させ,活性酸素を発生させた。その結果細胞膜脂質の過酸化が生じるが,それをDPPP試薬を用いて蛍光発色させ,過酸化脂質の量を測定した。また,細胞膜脂質の酸化により低下した膜結合EC-SOD量をELISA法で測定した。 AGEs,および3-DG添加によって生じた酸化ストレスにより惹起された細胞膜過酸化変性度の経時的変化を調べた。その結果,時間依存性に過酸化脂質量が増加していることがわかった。 次にAGEs、3-DGによる酸化ストレスを負荷した後の,細胞膜結合EC-SOD濃度を測定した。AGEsは105ng/mlで,また3-DGでは多少のばらつきはあるが,101,103,104ng/mlで,対象と比較して細胞膜結合性EC-SOD濃度が有意に低下した。つまり細胞膜非結合の遊離EC-SOD濃度が増加したことになる。 以上の予備実験の結果を踏まえて,実際に加齢黄斑変性患者の血清中EC-SOD濃度をELISA法により測定した。対象は年齢を相関させた加齢黄斑変性患者26例(70.8±7.4歳)および対照20例(68.1±5.8歳)である。測定はEC-SOD特異抗体を用いたELISA法で行った。また,両群で高血圧,糖尿病,高脂血症,喫煙歴,BMI(body mass index)の間に有意差はなかったが,加齢黄斑変性群の男性の比率(19例73%)は,対照群比率(10名50%)と比較して有意に高値であった。 この結果は,加齢黄斑変性の原因にEC-SODが関与していることを示唆している。
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