2003 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生・創傷治癒における胎児性形態形成因子の役割
Project/Area Number |
15390537
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長瀬 敬 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00359613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 浩太郎 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60210762)
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Keywords | 血管新生 / Sonic hedgehog / Angiopoietin-1 / Tie2 / 全胚培養系 / 神経管 / 卵黄嚢 / 血管腫 |
Research Abstract |
(1)Shhシグナル阻害マウス胚における血管新生の異常とその解析 Shhは発生過程で重要な役割を持つが、血管新生での役割はごく最近検討が始まったばかりである。本研究ではHedgehogシグナル阻害薬シクロパミンを全胚培養系に投与し、胚の血管新生の異常を調べた。その結果、神経管への血管侵入が著明に阻害されることを発見した。この過程に関与しうる血管新生因子を探索した結果、angiopoietin-1遺伝子が神経管内の運動ニューロン部位に発現することを見出した。シクロパミン投与胚では運動ニューロンの誘導がなされず、それに付随してangiopoietin-1遺伝子の発現も減少していた。今後このangiopoietin-1が実際に神経管内への血管侵入に関与するかを検討するため、レセプターTie2の機能阻害抗体を投与する実験を予定している。 (2)Indian Hedgehog (Ihh)シグナル阻害マウス胚卵黄嚢における血管新生の異常とその解析 われわれは上記シクロパミン投与胚で、卵黄嚢表面の血管網の形成が阻害されることも見出した。卵黄嚢ではShhではなく、類縁のIhhが発現するので、Ihh阻害による表現型と考えられた。血管新生関連遺伝子としてはNotch-1, Delta-like-4などの発現変化を認めた。今後これらの分子カスケードの解析を更に進める予定である。 (3)エキスパンダーで伸展された単純性血管腫における血管新生関連遺伝子の発現変化 成体における血管新生の例として、エキスパンダーで伸展された単純性血管腫の症例に着目した。この症例では血管腫の伸展部位でも縫合創の離開が見られず、血管新生(血管腫組織の増大)を生じていた。組織の遺伝子発現変化を調べたところ、angiopoietin-1, Tie2の発現亢進を認めた。現在正常伸展皮膚を含む遺伝子発現の変化を検討中である。
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