2004 Fiscal Year Annual Research Report
細菌感染性ショックの発症機構、診断、治療の総合的展開:新パラダイムを求めて
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15390546
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
丸山 征郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20082282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋口 照人 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (70250917)
阿邉山 和浩 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 客員助教授 (30284897)
中島 利博 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 教授 (90260752)
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Keywords | 内因性マリファナ / アナンダマイド / 2-アラキドニールグリセロール / 感染症性ショック / HMGB1 / 急性肺障害(ALI) / ARDS |
Research Abstract |
本研究で以下の実績を得た。 1.細菌感染症性ショックの早期メディエーターは内因性マリファナである:細菌感染症においては、グラム陰性菌の場合には、エンドトキシンがマクロファージ、樹状細胞上のTLR-4/CD14を介して、グラム陰性菌の場合にはTLR-2からシグナルが入り、内因性マリファナであるアナンダマイドと2-arachidonylglycerol(2-AG)の産生放出を促進する。この内因性マリファナはCB1,CB2受容体を介して血管壁細胞に作用し、血管拡張を惹起するが、これが過剰の場合た、細菌感染症性ショックに陥る。すなわち、内因性マリファナは、細菌感染症性ショックの"早期メディエーター"として働く。 2.劇症肝炎、溶血性尿毒症症候群(HUS)の病態形成にも内因性マリファナが関係する:劇症肝炎やHUSでも内因性マリファナが血液中で異常高値となり、これらの疾患での病態形成に関わる。 3.内因性マリファナはポリミキシンBに吸着される:内因性マリファナはポリミキシンB固相化カラムで血液を体外循環すると、血中から内因性マリファナは除去され、早期ショックの症候は改善される。 4.後期ショックのメディエーターはHMGB1である:壊死細胞、あるいは活性化マクロファージからはDNA結合蛋白HMGB1 1が細胞外に遊離してくる。このHMGB1が細胞外では炎症性サイトカイン、さらには"炎症の転移"、"臓器不全"のメディエーターとして働くことを明らかした。すなわちHMGB1は感染症をはじめ、諸疾患で高値を示すが、それが持続するときには、急性肺障害(ALI)やARDSの原因となる。 5.HMGB1局在化機構:HMGB1は局所では幹細胞の遊走増殖に働き、創傷治癒に働く。このようにHMGB1を"善玉"メディエーターに保つ機構が、内皮細胞上のトロンボモジュリンであることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)