2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15390555
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
杉本 朋貞 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50135729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 博之 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20193435)
山合 友一朗 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00158057)
藤田 雅子 岡山大学, 歯学部, 教務員 (40156881)
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Keywords | 脊髄後根神経節 / 1次ニューロン / 無髄線維 / IB4 / saporin / 侵害受容 / 細胞死 / 細胞毒 |
Research Abstract |
IsolectinI-B4(IB4)は、無髄で小型の侵害受容1次ニューロンに特異的に結合することが知られている。タンパク性毒素saporinとIB4の複合体(IB4-sap)は、上記結合によって細胞に侵入し、侵害受容1次ニューロンを選択的に破壊するものと期待される。今年度の研究では、IB4結合ニューロンの破壊の様態を明らかにするため、脊髄後根神経節(DRG)にIB4-sapを注入し、その効果を検証した。成熟ラットの一側の第4,5腰神経後根節(L4,5 DRG)に0.067%IB4-sap2,5μlを注入し、3週後にDRGの7μm連続パラフィン切片上でIB4結合部位を染色した。L4 DRGでのIB4結合ニューロン(IB4陽性細胞)の割合は対照側58,0%、注入側34.7%であった。対照側ニューロンの総数は11527±1379(平均値±S.D.)で小型(<1000μm^2)のものが68%を占めた。注入側の総数の平均値は8372±1431に減少したが(27%減)、小型の減少が著しく(44%減)、大型(>1000μm^2)では著変はなかった。両側ともIB4陽性細胞の87%以上が小型であり、その数は6691±465から2526±633に減少した(62%減)。陰性細胞は、IB4-sapによる著明な減少が認められなかった。一方、侵害性熱刺激に対する逃避行動の分析のため、IB4-sap注入後に2,3日おきにplanter testを行ったが、IB4-sap注入による著明な変化は認められなかった。以上の結果から、DRGに直接注入されたIB4-sapはIB4結合部位を持つ侵害受容1次ニューロンの大半を破壊するが、IB4結合ニューロンの一部はIB4-sapによる破壊を免れることがわかった。IB4結合ニューロンの破壊にもかかわらず逃避行動に変化がみられなかったことからIB4-sapに耐性を持つ侵害受容1次ニューロンが失われたIB4結合ニューロンの機能を代償することが示唆される。
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