2004 Fiscal Year Annual Research Report
セメント質の発生制御機構に基づいた歯周組織再生医療の開発
Project/Area Number |
15390580
|
Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
斎藤 正寛 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (40215562)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺中 敏夫 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (60104460)
木下 靭彦 神奈川歯科大学, 高次口腔科学研究所, 教授 (70084770)
清野 透 国立がんセンター, 研究所, 部長 (10186356)
原田 英光 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (70271210)
|
Keywords | 歯小嚢 / 細胞外マトリックス / オキシタラン線維 / 歯胚 / 発生 / 歯周組織 / 再生 / 歯根膜 |
Research Abstract |
昨年度までウシセメント質ライブラリーを作製し、抗セメント質抗体である3G9を用いてセメント質マーカー分子の同定を試みてきた。一方、ヒトゲノムデータベースが公表されて以来、海外および国内でヒトおよびマウスの各種臓器で発現する遺伝子がゲノムワイドに解析され、毛や歯などの特殊な臓器で発現する遺伝子群に関しても明らかにされつつある。中でもERATO関口細胞外環境プロジェクトでは、理化学研究所で作製されたマウス完全長cDNAデータベースより新規細胞外マトリックスを選択的に探索したところ、胎児期の歯胚で特異的に発現する分子群を同定した。そこで研究代表者はこれらの分子をさらに詳細にスクリーニングしたところA Disintegrin And Metaroproteases thrombospondin motif like : ADAMTSL familyに属するADAMTSL4が歯小嚢で特異的に発現することを見出した。そこで発生期歯胚におけるADAMSTSL4の発現パターニングを抗ADAMTSL4ポリクロナール抗体を用いて解析したところ、同分子は鐘状期歯胚の歯小嚢で発現し、その後歯根形成の過程に沿って発現が強まることが確認された。そして生後一ヶ月以降のマウス歯根の非脱灰凍結切片を用いて成熟した歯根膜での発現を免疫染色で確認したところ、ADAMTSL4は歯根膜細胞の走行に対して垂直に走行する微小繊維構造を呈することが判明した。これらの結果よりADAMTSL4は歯根膜中に特異的に存在する微小繊維であるオキシタラン繊維である可能性が考えられたので、同繊維を選択的に染色するフクシン染色にて対比染色を行った。その結果、フクシン染色と抗ADAMTSL4ポリクローナル抗体を用いた免疫染色の分布が完全に一致することが判明した。これらの結果より、ADAMTSL4は歯根膜中のオキシタラン繊維を構成する新規細胞外マトリックスであることが判明した。次にADAMTSL4発現細胞を調べる目的で、マウス歯小嚢細胞を分離培養し解析したところ、同細胞を長期間培養することによりADAMTSL4陽性の微小繊維様構造物を形成することが確認された。そこで同細胞を免疫不全マウスへの移植実験実験を行ったところ、移植後一ヶ月でADAMTSL4陽性の微小繊繊維を形成することが確認され、このような特徴的な染色像はNIH3T3やC2C12などのマウス由来細胞株では形成されなかった。これらの結果より、ADAMTSL4は歯小嚢細胞から分泌される新規細胞外マトリックスで、歯根膜形成過程でオキシタラン線維を構成することが判明した。
|
Research Products
(6 results)