Research Abstract |
申請者らはこれまで、Au, Ag, Cuを添加元素とした試作チタン二元合金について,その熱膨張収縮と市販チタン用陶材との陶材焼付強度の測定を行ってきた.また,チタン用ではなく,一般の焼付陶材が応用可能と考えられる,チタン含有量を減らしたAu-1.6wt%Ti合金についても,熱膨張収縮,焼付強度,臨床形態での破壊強度,適合精度等について検討を加えてきており,本合金による陶材焼付前装冠は従来型の金合金による陶材焼付システムと全く遜色ない結果が得られ,本合金の臨床的価値を明らかにしてきた.本年度は,チタン専用陶材の成分調整により,試作チタン合金との熱膨張係数調整を行う予定であったが,本市販陶材が発売中止になったため,新たな市販チタン用陶材を入手し,チタンとの焼付強度試験を改めて行うこととした.しかし新陶材は焼付強度が安定して得られず,試行錯誤の結果,ボンディング材塗布方法の違いが大きく焼付強度に影響することがわかったが,本検討に時間がかかり,当初予定の研究は十分には遂行できなかった.その間,チタンおよびチタン合金の鋳造による弊害を避けるには,CAD/CAMを応用した加工が陶材焼付にも有利ではないかとの発想から,チタン合金の研削加工による陶材焼付前装冠への応用についても,本研究目的にかなうものとして検討を開始した.本年度は,前述のボンディング陶材塗布方法を参考に,純チタン加工面への陶材焼付強度,臨床形態での破壊強度について検討を行った.その結果,加工面への焼付け強度は約35MPaを示し, ISOで規定された25MPa以上を示し十分な焼付強度が得られること,また,臨床形態における破壊強度も1200N以上有り,十分な強度が得られることがわかった.今後は,チタン合金の鋳造加工,CAD/CAM加工,両方法についてさらに研究を進める予定である.
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