2005 Fiscal Year Annual Research Report
口腔環境の変化がもたらす脳の可塑性と機能的・心理的順応性の研究
Project/Area Number |
15390587
|
Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
渡辺 誠 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80091768)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 佳功 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (40238035)
伊藤 進太郎 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (00361105)
小牧 健一朗 東北大学, 病院・助手 (40361109)
坪井 明人 東北大学, 病院・講師 (00241646)
山口 哲史 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50400263)
|
Keywords | functional MRI / 脳可塑性 / 口腔環境 / 口腔機能 |
Research Abstract |
オクルーザル・スプリント装着による口腔環境変化と、新たな咀嚼運動パターンの構築などの機能的変化に伴う、脳活動様相の変化を明らかにすることを目的として、MRI装置を用いて脳機能の評価を行った。6名の成人男性(平均23.2歳)被験者に、厳密に調整したオクルーザル・スプリントを7日間装着させ、装着当日、3日目、7日目、撤去後7日目にガム咀嚼中の脳賦活領域を解析した。また、毎回の撮像後にVASによる主観的感覚の評価を行った。脳画像の解析にはSPM2を用い、特に運動学習において重要な役割を担う事が知られている小脳と、運動との関わりが深い前頭葉では多重比較無補正、p=0.001、extent threshold=20voxelsで分析を行った。 スプリント装着の有無によるガム咀嚼時の脳活動における差異について、全被験者でグループ解析を行ったところ、装着初日ではスプリント装着時の方が小脳と左中前頭回(BA10)がより強く賦活していた。この結果は、スプリント装着によって新たな咀嚼運動パターンが構築される際の、小脳や前頭葉の活動を示していると考えられる。中前頭回(BA10)は前頭前野に属し、意欲や疲労との関連が示されている領域である。3日目と7日目では小脳と前頭葉ではスプリント装着の有無による活動の差は検出されず、スプリント撤去後7日目では左運動前野がスプリント装着時により強く賦活していた。スプリント装着の有無による小脳活動の差はスプリント装着当日以外では観察されず、これは新たな咀嚼運動パターンに対応する脳神経回路が構築され、スプリント撤去後も維持されていた事を示していると考えられる。 VASによる被験者の主観的感覚の評価と脳活動との関連についてもSPM2を用いて解析を行ったが、有意な相関を示す領域は観察されなかった。
|