2004 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌の浸潤・転移におけるCOX-2の関与と選択的阻害剤による抑制効果の検討
Project/Area Number |
15390630
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
浦出 雅裕 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70104883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 一成 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (30129118)
西村 則彦 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (90330448)
橋谷 進 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (00330449)
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Keywords | 口腔癌 / シクロオキシゲナーゼ(COX)-2 / 浸潤 / 転移 / COX-2高発現KB細胞 / MMP / COX-2阻害剤 / 腫瘍増殖抑制 |
Research Abstract |
本研究は、口腔癌の浸潤・転移におけるCOX-2の関与を明らかにすることを目的として、臨床材料より得た口腔癌の浸潤先進部および転移巣でのCOX-2発現を免疫組織化学的、遺伝子学的に検索するとともに、口腔癌培養細胞にCOX-2遺伝子を導入し、培養細胞系およびヌードマウス移植系を用いて浸潤能および転移能について検討する。さらにその分子機構と選択的阻害剤による浸潤・転移抑制効果についても検討し、COX-2が口腔癌治療の分子標的になりうるか否かを明らかにする。平成16年度に得られた成果を以下に述べる。 1.口腔癌におけるCOX-2発現は、原発巣に比べ転移巣で有意に高発現を示し、腫瘍浸潤先進部で増強する傾向が見られた。 2.口底癌由来KB細胞にCOX-2遺伝子を導入し、得られた高発現クローンは、対照に比べて4倍のタンパク発現増加を示した。細胞増殖能においては大差ないが、PGE_2産生は対照の約4倍上昇し、Wound healing assayによる細胞運動能、Invasion chamberによる浸潤能は有意に増強していた。 3.COX-2高発現クローンでは、対照に比べ、MMP9,pro-MMP2,activated-MMP2、MT1-MMP活性が増加しており、TIMP1,TIMP2,E-カドヘリンは減少していた。 4.COX-2高発現クローンでは、対照に比べ、ヌードマウス移植後の腫瘍増殖が速く、辺縁の浸潤傾向も強かった。腫瘍片のFilm in situ zymographyにおいて、COX-2高発現クローンには高いゼラチナーゼ活性が認められた。 5.COX-2高発現クローンの口底移植あるいは心臓注入により、肺、骨などへの多発性転移を認めたが、対照ではほとんど転移を認めなかった。 6.DMBA誘発ハムスター頬嚢発癌では、COX-2の発現増加がみられ、COX-2阻害剤であるセレコキシブ、スリンダク投与により、発癌時期の遅延、腫瘍増殖抑制、生存期間の延長が認められた。 7.ヒト口腔扁平上皮癌細胞SCC25を、分化誘導剤である酪酸ナトリウムやレチノイン酸で処理すると、細胞角化を示す分化誘導がおこり、同時に腫瘍増殖とCOX-2発現が抑制されることが明らかとなった。 (1-3については、平成16年10月開催の第6回アジア口腔顎顔面外科学会において発表した。)
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