2004 Fiscal Year Annual Research Report
P.gingivalis感染による歯周組織修復シグナルの阻害
Project/Area Number |
15390645
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡橋 暢夫 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (40150180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 敦雄 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50193024)
中川 一路 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (70294113)
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Keywords | 歯周病 / 再生医学 / P.gingivalis / 細胞接着 / 上皮細胞 / 歯根膜細胞 |
Research Abstract |
歯周病細菌P.gingivalisは、細菌表層に存在する線毛を介して組織細胞内に侵入する。また、本菌はgingipainと呼ばれるプロテアーゼの作用により、細胞外基質を分解するなど強い組織傷害性を示す。本研究では、1)P.gingivalisの感染が組織再生シグナルを阻害するかどうか、2)gingipainが組織再生阻害に関与している可能性があるかどうか、の2点を明らかにすることを目的とした。 平成16年度は、歯根膜細胞を用い、スクラッチ法による引っ掻き傷の修復を組織修復モデルとした。すなわち、歯根膜細胞を細胞培養ディッシュに均一になるように培養し,そこに引っ掻き傷(スクラッチ)をつけると、細胞は引っ掻き傷を埋めるように移動・増殖を始める。通常の培養条件では、1、2日で引っ掻き傷が埋まり、培養細胞は再びディッシュ上で均一な単層細胞になる。この実験系で、P.gingivalisを感染させると以下のような結果が得られた。 1)P.gingivalis感染によって引っ掻き傷の修復は起こらなくなった。また、この時、細胞移動だけでなく、細胞増殖も抑制された。加えて、細胞接着シグナル関連タンパク質FAKやpaxillinの分解が認められた。 2)エムドゲインやファイブロネクチンなどは細胞移動や増殖を促進し、引っ掻き傷の修復を促進するが、P.gingivalisを感染させると、これらの組織修復促進作用は認められなくなった。 3)P.gingivalis線毛欠損変異株を感染させた場合も親株と同様の修復阻害作用が見られるが、gingipain欠損株では引っ掻き傷の修復が認められた。 4)gingipain欠損株ではFAKやpaxillinの分解も起こらなかった。 これらの結果は、P.gingivalisの産生するプロテアーゼ(gingipain)が細胞接着タンパク質を分解することによって細胞増殖、細胞移動、さらに組織修復を阻害することを示唆するものである。
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[Journal Article] Autophagy defends cells against invading group A streoptococc2004
Author(s)
Nakagawa I, Amano A, Mizushima N, Yamamoto A, Yamaguchi H, Kamimoto T, Nara A, Funao J, Nakata M, Tsuda K, Hamada S, Yoshimori T
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Journal Title
Science 306
Pages: 1037-1040