2006 Fiscal Year Annual Research Report
保健師活動におけるグループ支援およびコミュニティ支援プロセスの標準化
Project/Area Number |
15390679
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
錦戸 典子 東海大学, 健康科学部, 教授 (10172644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村嶋 幸代 東京大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60123204)
麻原 きよみ 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (80240795)
安齋 由貴子 宮城大学, 看護学部, 教授 (80248814)
福田 英子 東海大学, 健康科学部, 講師 (50296521)
田口 敦子 東京大学, 大学院医学系研究科, 助手 (70359636)
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Keywords | 保健師 / グループ支援活動 / 組織支援活動 / 支援プロセス / アウトカム |
Research Abstract |
本研究は、保健師活動におけるグループ支援およびコミュニティ支援のプロセス、およびそのアウトカムを体系化・標準化し、地域看護学の学問的基盤を再構築するとともに、根拠に基づいた実践に役立つ知見の集大成を期するものである。本年度は、行政保健師によるグループ支援活動、産業保健師による職域組織支援活動の2分野に関して、これまで展開してきた質的研究成果を踏まえて、各々次のような量的研究を展開し、最終的な研究の総括を行った。 行政保健師によるグループ支援活動については、実際の保健師活動におけるグループ支援プロセスの実践状況の把握ならびにアウトカムとの関連の検証を意図して、全国から無作為抽出した市町村の保健師約2000名を対象に、郵送質問紙調査を行った。質問紙の作成にあたっては、昨年度に実施したグループ支援の良好実践事例を担当した保健師へのインタビュー調査結果から抽出したグループ支援プロセスならびにアウトカムを参考にした。データ分析の結果、インタビュー調査から抽出した殆どの支援プロセスが4割から10割の実施率で実践されていた。保健師の経験年数があがるほど、また一般に都市部ほど、グループ支援プロセスの実践率が高かった。その中で一番実施率が低かったのは、「グループ活動の地域への発展の支援」の方向軸に含まれる支援プロセスであり、地域への発展を意図したグループ支援プロセスは、今後さらに普及の余地があると考えられた。支援プロセスとアウトカムの関連については、概ね有意な相関が認められ、アウトカムに基づいたグループ支援プロセスを体系的に整理することができた。 産業保健師による職域組織支援活動については、特に中小企業への健康支援に関して重要な役割を担っている総合健保組合の保健師に着目して、事業所への組織支援活動に実績のある熟練保健師へのインタビュー調査を実施し、加入事業所への組織支援プロセスならびにそれに関連する背景要因を抽出した。その後、同様に全国的な実施状況ならびに背景要因の該当状況の把握と、関連検討を目的とした質問紙調査を行ったところ、組織支援活動の実施率は約2割にとどまっており、その実施に関連する要因として、インタビュー調査で抽出された保健師の個人要因、総合健保組合要因、ならびに事業所要因が、それぞれ独立して有意に関連していることが示唆された。本研究結果は、総合健保保健師の事業所組織支援活動の普及ならびに標準化に役立つことが期待される。
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