2004 Fiscal Year Annual Research Report
実践としてのエスノサイエンスと環境利用の持続性-中国における焼畑農耕の現在-
Project/Area Number |
15401037
|
Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
篠原 徹 国立歴史民俗博物館, 研究部, 教授 (80068915)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 秀章 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (20004450)
西谷 大 国立歴史民俗博物館, 研究部, 助教授 (50218161)
梅崎 昌裕 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (30292725)
吉村 郊子 国立歴史民俗博物館, 研究部, 助手 (50332119)
|
Keywords | 焼畑 / 有用植物 / 攪乱環境 / 環境保全 / 棚田 / 複合的な土地利用 / 交易 / 定期市 |
Research Abstract |
海南島においては,水満と保力の2村落において現地調査を実施した.具体的には,過去25年間における村落の土地利用変化(森林被覆をふくむ),それにともなう世帯の生業・食生活の変化,人々の栄養状態の指標などにかかわるデータを収集した.水満村においては,1980年代後半に本格化した観光開発の影響をうけて伝統的な焼畑が放棄され,随伴雑草の利用を含めた水田耕作の集約化が進行した.一方,保力村では1990年代に換金作物が導入されて以来,伝統的な焼畑耕作に利用されてきた二次林が換金作物畑へと転換されてきた.このような生業の大きな変化の中で,焼畑農耕の食物生産手段としての重要性は相対的に低下しつつも,焼畑によって生成されてきた攪乱環境に生育する有用植物の知識は,水満村では観光資源として,一方保力村では食糧資源として,ひとびとの生業戦略にとりこまれていることが明らかになった. 雲南においては、金平県者米ラフ族郷・老集寨郷内のハニ、アールー、ヤオ族の3箇所の村と、元陽県内のハニ族の村1箇所で調査を実施した。村落の生業変化をさぐるため土地利用のデータを収集した。者米ラフ族・老集寨郷では、9民族が高度によって棲み分けているだけでなく、伝統的に焼畑、棚田、狩猟採集といった生業を複合的におこなってきた。現在この地域では、政府の政策によって山の斜面地の焼畑は禁止され、棚田や換金作物畑への転換がおこなわれている。そのため焼畑農耕の重要度は低下しつつあるようにみえる。しかし山の斜面地での環境保全と生業を両立させようとすると、彼らが伝統的におこなってきた、焼畑、棚田を組み合わせた複合的な土地利用の方法と技術が不可欠であることが明らかになってきた。また山の高度差による生態系の相違は、生産物の差異を生み出してきたが、河谷平野では定期市が6日ごとにおこなわれ、民族間の交易に重要な役割をはたしてきたことが明らかになった。
|
Research Products
(8 results)
-
[Journal Article] 介于野生和栽培之間的植物群2005
Author(s)
篠原 徹
-
Journal Title
JOURNAL OF GUANGXI UNIVERSITY FOR NATIONALITIES (PHILOSOPHY AND SOCIAL SCIENCE EDITION) Vol.27 No.1
Pages: 35-43
-
-
-
-
-
-
-