2005 Fiscal Year Annual Research Report
地域間経済格差是正と環境改善の最適地域マネジメントのあり方
Project/Area Number |
15402002
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
保母 武彦 島根大学, 副学長 (70127497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 隆史 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (70032604)
藤原 勉 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (00023474)
中林 吉幸 島根大学, 法文学部, 教授 (90237371)
伊藤 勝久 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (80159863)
廣嶋 清志 島根大学, 法文学部, 教授 (20284010)
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Keywords | 中国 / 寧夏回族自治区 / 条件不利地域 / 西部大開発 / 環境保全 / 退耕還林政策 / 経済発展 / 内発的発展 |
Research Abstract |
平成17年度は、寧夏調査を9月17日から10月1日に行った。調査対象は、南部山区、呉忠市政府、自治区政府である。なお、科研の最終年であり、研究の集約を兼ねて科研以外の学内研究チーム2団体と合同で、12月10-11日、松江市において、学内外から300人以上の参加を得て、「東アジアにおける社会発展と環境のあり方を考える」国際シンポジウムを開催した。 (1)黄土高原に位置する寧夏南部山区は、国家に指定された貧困地域である。現地調査では、「生態建設」事業と呼称される環境改善政策である「退耕還林・還草」政策、「封山禁牧」政策の現場を訪れ、1990年から実施している個別農家を対象とする定点観測を実施し、農家経済の変動に関する資料を把握、解析した。 (2)上記の政策は、既存の耕地に植樹し、放牧を禁止するため、農村過剰人口の兼業化・近隣地方都市への人口流出を促すとともに、農家に将来不安を与えている面があるも明確になった。環境政策が地域(農村)の経済・社会構造に影響を及ぼす典型事例の一つである。 (3)しかし、まだ少数だが、商品作物生産の集団化、ブランド化を進める農村も現れており、今後の農村維持・振興のモデルになり得る事例を発見できた。 (4)また、農村人口の受け皿として、地方都市における就業機会の拡大が課題になっているが、今後のモデルとなる可能性を秘めた事例として、呉忠市(人口120万人)の「朝陽産業」を発見した。それは、地域資源活用の内発的発展の事例である。同市では、「朝陽産業」が20%を占め、成長率も他産業より高く、有望である。 (5)日本では、政府による市町村合併と地方行財政構造の改変が進められて、農村には厳しい状況が現出しているが、条件不利の小規模農村に適用できる「あり方」の一般法則性が見えてきた。
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Research Products
(23 results)