2005 Fiscal Year Annual Research Report
お金をめぐる子どもの生活世界の日中韓越比較研究:儒教文化圏の多様性と文化変容
Project/Area Number |
15402044
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Research Institution | Maebashi Kyoai Gakuen College |
Principal Investigator |
山本 登志哉 共愛学園前橋国際大学, 国際社会学部, 教授 (60221660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 登 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00188038)
佐藤 達哉 立命館大学, 文学部, 助教授 (90215806)
呉 宣児 共愛学園前橋国際大学, 国際社会学部, 助教授 (90363308)
竹尾 和子 東京理科大学, 理学部, 講師 (30366421)
伊藤 哲司 茨城大学, 人文学部, 助教授 (70250975)
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Keywords | 差の文化心理学 / 子どもとお金 / 発達 / 自立と文化 / 拡張された媒介構造 / 友達関係と文化 / 東アジア / 対人関係構造 |
Research Abstract |
本年度に行われた主な活動は概ね以下のようにまとめられる。 1、中国では漢民族都市部(北京)漢民族農村部(山東省)朝鮮族都市部(吉林省)の小学5年、中学2年、高校2年生を対象に、お小遣いに関してこれまで日韓越で行ってきた質問紙調査を実施。またこれまで個別に分析してきた日韓越の質問紙調査結果について相互に比較を行った。 2、インタビューについてはテープ起こし作業を組織的に進め、とくに「おごり」を巡る諸関係と意識、お小遣いの帰属先(誰のものか)に関する複雑な意識の構造の分析を展開した。 3、比較文化心理学と文化心理学の視点を統合するものとしてのわれわれの「差の文化心理学」の立場、およびそれに基づく本研究について、理論化の作業を展開。その骨子は (1)お金を市場経済社会における経済的道具という狭い枠ではなく、贈与を含む広範囲な社会的相互作用の文化的道具として位置づける。 (2)お金をめぐる所有関係を所有者とお金の間の関係としてではなく、お金をめぐる対人関係構造として捉える。 (3)そのような文化的道具としてのお金を媒介として成り立つ子どもの媒介的な意識構造を、ヴィゴツキー理論などの媒介構造を展開した「拡張された媒介構造」として図式化し、分析の基礎単位とする。 (4)文化意識をその「拡張された媒介構造」の規範的媒介項(第三項)のズレの意識化と集団へのその帰属として捉える。 (5)虚構としてある文化が実体的に機能化する構造を、そのようなズレの意識化と集団帰属過程から捉える。 (6)同様の視点から、文化研究における文化認識それ自体が「差の文脈」に依存し、従って多声的に現れざるを得ないことを明らかにする。 (7)その文化認識の普遍化は「具体的一般化」という形で進むことを明らかにする。というものである。 4、以上について、内外の学会(日本発達心理学会・日本教育心理学会・日本質的心理学会・上海での中国心理学会・ベトナム国家人文社会センターに於ける学術交流研究会・セビリヤでのISCAR)でポスター発表、シンポジウム開催などの形で発表するとともに、各種学術誌や書籍において論文化をしている。
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Research Products
(5 results)