2003 Fiscal Year Annual Research Report
未利用生物発光システムおよび新規蛍光タンパク資源の探索と生体分子プローブ化
Project/Area Number |
15404009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
丹羽 治樹 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (20135297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近江谷 克裕 産業技術総合研究所, 人間系特別研究体, グループ長 (20223951)
牧 昌次郎 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (20266349)
平野 誉 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (20238380)
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Keywords | 発光生物 / 生物発光 / 発光ゴカイ / Odontosyllis / ルシフェリン / ルシフェラーゼ / 分離 / 精製 |
Research Abstract |
幾つかの新規生物発光系についてルシフェリンの探索研究を進めた。まず米国California州に棲息する発光ゴカイ(Odontosyllis phosphorea)の発光系について検討した。San Diego湾で発光ゴカイを採集し、ただちにドライアイスで凍結した後、freeze-dry処理した。この乾燥発光ゴカイ試料をメタンール抽出した。一方freeze-dryした発光ゴカイを10mM炭酸アンモニウムと共にhomogenizeし、遠心分離して粗ルシフェラーゼ溶液を得た。両者を混合すると、発光が観測された。発光スペクトルを測定したところ、天然の発光ゴカイの生物発光スペクトル(513nm)と同様の発光スペクトル(発光極大504nm)が得られたことから、この発光ゴカイの発光系はルシフェリン-ルシフェラーゼ(Ln/L-ase)反応を示し、ルシフェリンはメタノール抽出できることが判明した。一方我が国の富山県滑川市海岸で採集した発光ゴカイ(Odontosyllis undecimdonta)についても同様な実験を進めた。その結果、日本産発光ゴカイについてもLn/L-ase反応が確認された。なお生物発光の発光極大は米国産発光ゴカイに比べやや短波長の508nmであり、Ln/L-ase反応の発光極大は511nmとやや長波長側に観測された。そこで米国産の発光ゴカイと日本産の発光ゴカイのメタノール抽出物(ルシフェリン含有)と粗ルシフェラーゼ溶液を用いて交差Ln/L-ase反応を試みたところ、何れの組み合わせにおいても発光極大がわずかではあるが、明らかに異なることが判明した。この結果は日米両国の発光ゴカイのルシフェリンは各々のルシフェラーゼで何れも発光基質として認識されるが、僅かに構造が異なると言うことを示しており、大変興味深い。ついで日本産発光ゴカイを予備試験的にルシフェリンの単離を試みた結果、HPLCで単一のピークをあたえる分離条件を確立することが出来た。現在構造確認中である。
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