2003 Fiscal Year Annual Research Report
天然ゴムの伸長結晶化挙動-Hevea樹クローン選択のために-
Project/Area Number |
15404011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
麹谷 信三 京都大学, 化学研究所, 教授 (50027900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 裕子 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (10202904)
妹尾 政宣 京都大学, 化学研究所, 助手 (40362389)
登阪 雅聡 京都大学, 化学研究所, 助手 (10273509)
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Keywords | 伸長結晶化 / 核生成 / 過冷却 / 力学特性 / 広角X線回折 / 架橋密度 / 国際情報交換 / スリランカ・タイ・マレーシア・インド・インドネシア |
Research Abstract |
種々のHevea樹クローンから得られたゴムの原料シートを入手し、ゴム架橋体試料を作成した。これら試料の伸長結晶化挙動について、シンクロトロン放射光による広角X線測定と応力歪み試験の同時測定を行った。今回の測定では、測定誤差範囲内で明確なクローン差は見られなかった。 また、天然ゴム架橋体試料一般の伸長結晶化挙動を調べるため、種々の架橋密度を有する試料・カーボンフィラーを充填した試料も作成し、同様に伸長結晶化挙動の同時測定を行った。 伸長過程において、始めから高度に配向したゴムの結晶回折反射が現れた。一方で、等方的な非晶のハローは伸長比800%でも強く残った。この事から、伸長した架橋ゴム試料中には、引き延ばされた分子鎖とランダムコイル状の分子鎖が共存すると考えられる。また結晶化の始まる歪みは架橋密度によらずほぼ一定だった。さらに、伸長するに従って結晶サイズが低下し、架橋密度の高い試料ほど微結晶サイズの小さくなる事がわかった。以上の結果から、架橋天然ゴムをある程度伸長すると伸びきった網目鎖を核として結晶化が起こり、結晶成長に消費されるのは伸びきった分子鎖ではなく、核の周囲の緩んだ分子鎖であると考えられた。 また、単位格子の大きさと試料に加える引張り応力の関係を調べたところ、応力に応じて結晶格子が直線的に変形している事が見出された。この事は、伸長誘起結晶が応力の一部を担っている事を意味する。架橋密度を変えても、結晶格子の変形の仕方はほとんど変わらなかった。一方、カーボンフィラーを充填した試料では、充填量の多いほど結晶の格子歪みが小さかった。これはカーボンフィラーが伸長誘起結晶に変わって応力を担っている事を意味する。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Poompradub, Sirilux: "Lattice Deformation of Strain-induced Crystallites in Carbon-filled Natural Rubber"Chemistry Letters. 33・3. 220-221 (2004)
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[Publications] Tosaka, Masatoshi: "Orientation and crystallization of natural rubber network as revealed by WAXD using synchrotron radiation"Macromolecules. (in press).