2003 Fiscal Year Annual Research Report
中国の市場経済導入に伴う住宅所有権の発生とその住環境への影響
Project/Area Number |
15404021
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
菊地 成朋 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (60195203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 建 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助手 (60325545)
趙 世晨 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (80304848)
坂元 一光 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (20150386)
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Keywords | 中国 / 商品住宅 / 所有権 / 住環境 |
Research Abstract |
本研究は,住宅の市場化が急速に進む中国の主要都市を対象に,住宅に関する法制度の変化を取材・分析するとともに,私有化された住宅について実態調査を行うことにより,制度転換に伴う住宅供給と住環境の問題を検討することを目的としている。 平成15年度には,以下の調査・分析を行った。 (1)中国における住宅政策の転換と供給実態の分析:1978年の改革以後の住宅政策について,関連する資料・文献を収集し,改革以後の住宅制度の方向性について分析を行った。特に近年急速に増加している商品住宅に関しては,所得階層ごとの供給体制について詳細に把握した。 (2)大連市における住宅施策および住宅市場化の状況把握:地方中核都市である大連市をフィールドに現地調査を行い,住宅供給制度の具体的な変容過程を把握した。調査では,まず市政府による条例・通達等の資料を収集し,さらに行政関係者へのヒアリング調査を行った。次に,実際の住宅開発業者へのヒアリングを行い,開発事例を複数視察した。 (3)大連市における居住実態および居住者の意識調査:大連市内で新たに建設された商品住宅を数地区選定し,住環境とその管理形態について詳細なフィールド調査を行った。まず,選定した住宅地の居住者に対して,入居の経緯,住生活,住意識(とくに所有権に関する認識),住宅の維持管理方法,将来の意向などについてヒアリング調査を行った。また,対象住宅地の住棟周り,共用空間,住戸内部の生活実態について実測調査を行い,住環境の実態を把握した。さらに,各住宅の管理業務を実際に行っている単位・開発業者・専業の管理会社などの担当者に対しても,現在の維持管理の仕組みと問題点についてヒアリングを行った。その結果,商品住宅は居住者の私有財であるにもかかわらず,公的機関や開発業者が住環境の維持に関与し続けている実態等が明らかとなった。
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