Research Abstract |
海浜の鋼構造物として使用される3種類の炭素鋼,亜鉛めっき鋼板,ステンレス鋼などの各種鋼材の腐食速度をモニタリングするために,中国における協力研究機関である中国科学院海洋研究所の協力によって中国国内の5地点(青島2ヶ所,湛江,東営,広州)に曝露し,平成19年1月までの腐食速度の経時変化データを収集した。データ量が膨大なためその解析は終了していないが,1年以内に解析を終了する予定である。 当研究室と海洋研究所が共同主催して数年毎に開催しているシンポジウム,第3回「海洋腐食と制御」日中共同シンポジウムを青島で開催し,韓国,フィリッピン等からも参加した。シンポジウムでは,耐候性鋼,海浜耐候性鋼の腐食反応機構と制御法に関する研究,腐食モニタリング用のプローブに関する研究,微生物腐食の陰極防食による制御法などを本研究の成果として報告した。また,海洋研究所からは,微生物腐食による鋼材への水素侵入などについて注目すべき研究成果が報告された。 本研究では,亜鉛めっき鋼材のめっき層に損傷が生じた場合に,亜鉛の犠牲陽極作用によって鋼材上での水素発生反応が加速され,水素の吸収量が増加することを定量的に明らかにした。また,水素の吸収は海塩(塩化物イオン)の存在,大気汚染等に起因するSOxなどによって鋼材上の錆層の下でのpH低下が促進されることを見出した。これらのことから,海浜・海洋環境で亜鉛めっきした鋼材,特に高張力鋼の使用には格段の注意が必要であること,これらへの対応策として亜鉛にニッケルあるいはアルミニュームを合金化しためっきでは水素の侵入量を抑制されることなどを明らかにした。
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