2004 Fiscal Year Annual Research Report
アジアデルタ地帯の総合地盤環境保全ストラテジーに関する研究
Project/Area Number |
15404026
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
六川 修一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (50183710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津 宏治 資源, 環境観測解析センター, 理事(研究職)
大久保 泰邦 産業技術総合研究所, 地質調査情報センター・地質調査企画室, 室長(研究職) (70356624)
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Keywords | アジアデルタ地帯 / 環境変遷過程 / 地盤環境 / リモートセンシング / 衛星画像データ / 地形地質 / 海岸侵食 / マングローブ |
Research Abstract |
文明の価値観に関する様々な葛藤が世界各地で顕在化してきている.我が国においては近隣のアジア各国との新たなパートナーシップを構築する事は,国際社会において戦略的重要性を持つと考えられる.特にアジアデルタおよびその周辺域に住む人々の安心,安全のための技術開発や総合マネジメント戦略が重要であり,海岸侵食,地盤沈下,海老養殖場の廃棄,それら,に伴う低地の塩化によって,環境,経済,社会的にも深刻な影響が現れ,これらの問題解決への足掛かりが早急に求められている.このため本研究では,タイ王国のチャオプラヤ川河口デルタ地帯を重点に,当該国の環境省,エネルギー省の研究者と協力し,総合的な環境変化の詳細な調査を行なった.具体的には最新の衛星画像データならびに既存の地質データの解析,さらには現地踏査やヘリコペターによるデルタ周辺環境の俯瞰的調査,解析を行い海岸浸食ならびに土地利用改変等の地盤環境の詳細な実態把握のための調査研究を行った.とりわけ海岸侵食状況について干潮,満潮時や異なった季節の画像を解析し,マングローブ林の活性度を考慮した詳細な環境分析を行った.その結果,最新の衛生画像を含めたデルタ域の海老養殖場跡の分析や水路分析から,かつての自然状態から現在までの変遷の過程が解明された.また地盤環境調査から地盤沈下の著しい地域の地盤構造が推定された.最後に本年度のまとめとしてタイの現地研究機関と共同で,「持続可能なタイ湾沿岸開発戦略に関するタイ国-日本共同セミナー」(平成17年1月27日)をバンコクで開催し,環境面ならびに社会面から様々な問題に対する理解を深め,今後の対策に向けた指針に関する議論を行った.これらの研究調査結果から,デルタ域の総合的な地盤環境の調査ストラテジーの方向性が見いだされたものと考えている.
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