2003 Fiscal Year Annual Research Report
スリランカ乾燥地帯における大型野生動物の行動生態学的研究―分子生態から保全まで
Project/Area Number |
15405009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 寿一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30172894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 剛 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (80302595)
高槻 成紀 東京大学, 総合研究博物館, 助教授 (00124595)
長谷川 眞理子 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (00164830)
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Keywords | スリランカ / アジアゾウ / インドクジャク / 行動生態 / 保全 / 分子生態 / 衛星追跡 / 動物認知 |
Research Abstract |
本研究は、スリランカ東部に生息する大型野生動物の代表種であるアジアゾウとインドクジャクに関する行動生態学的研究の第一次調査である。個体の行動や社会構造に焦点をあてた行動生態学アプローチを用い、スリランカ人研究者と共同して、同地域の大型野生動物の保護に欠かせない基礎データを収集する。 アジアゾウについては、高槻の群落選択や食性に関する研究を踏まえた上で、人工衛星を利用したテレメータ・システムを用い、個体の移動に焦点をあてた行動解析や社会構造の解明をめざす。インドクジャクに関しては、長谷川寿一・眞理子が過去8年間にわたっておこなってきた日本国内のインドクジャクの性選択や詳細な遺伝、内分泌、行動の解析の経験をもとに、野生個体群のインドクジャクの繁殖システムの全体像を明らかにする。 今年度の調査は、2003年の8月(長谷川)、9月(高槻)、12月〜2004年1月(長谷川・長谷川)、3月(高槻)の4回にわたって現地野外調査を実施した。最初の2回の調査では、主にアジアゾウの調査地域を現地踏査し、現地研究者との研究連絡、および文献資料の収集、GPSシステムの受信・発信状況確認を行なった。現地では、調査地域に在住し、とくにゾウについて現地情報に詳しいUN環境調査官、スパティプラ博士の案内により、ゾウの生息環境、捕獲予定地域を実地検分した。第3回の調査は、野生クジャクの生息状況の調査と、詳細な行動観察を行なう地域の選定を行なった。その結果、ブッターラ県に調査適地を見出すことができ、実際にインドクジャクの配偶行動も観察でき、来年度の本格調査のための準備が整った。第4回の調査では、灌漑開発に伴うアジアゾウの保全への影響を評価するための予備調査を行なった。また、テレメータ装着に必要な捕獲許可を取るべく、関係機関との調整を行なった。特注したGPS発信機は、完成しており、調査許可が下り次第、装着してモニタリングを行なう予定である。国内では、ゾウの糞からのDNA情報抽出の準備、ゾウの認知機能の実験準備を上野動物園で開始した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kobayashi, T., Hiraki, K., Mugitani, R., Hasegawa, T.: "Baby arithmetic : one object plus one tone."Cognition. 91. B23-B34 (2004)
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[Publications] Senju, A., Tojo, Y., Dairoku, H., Hasegawa, T.: "Reflexive orienting in response to eye gaze and an arrow in children with and without autism."Journal of Child Psychology and Psychiatry. J45(3). 445-458 (2004)
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[Publications] 國平搖, 千住淳, 長谷川寿一, 若林明雄: "健常成人に見られる自閉症的傾向の個人差-気質・心理的適応・認知機能との関連"自閉症スペクトラム研究. 2. 21-30 (2003)
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[Publications] Saito, A., Mikami, A., Hasegawa, T., Koida, K., Terao, K., Koike, S., Onish, A., Takenaka, O., Teramoto, M., Mori, Y: "Behavioral evidence of color vision deficiency in aprotanomalia chimpanzee."Primates. 44(2). 171-176 (2003)
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[Publications] Senju, A., Yaguchi, K., Tojo, Y., Hasegawa, T.: "Eye contact does not facilitate response in children with autism."Cognition. 89. B43-B51 (2003)
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[Publications] 松本忠夫, 長谷川寿一〔編著〕: "動物の社会行動 別冊「遺伝」"裳華房. 154 (2003)