2004 Fiscal Year Annual Research Report
スリランカ乾燥地帯における大型野生動物の行動生態学的研究-分子生態から保全まで
Project/Area Number |
15405009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 寿一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30172894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 眞理子 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (00164830)
高槻 成紀 東京大学, 総合博物館, 助教授 (00124595)
藤田 剛 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (80302595)
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Keywords | アジア象 / 保全 |
Research Abstract |
本研究は、スリランカ東部に生息するアジアゾウとインドクジャクに関する行動生態学的調査である。アジアゾウについては、ゾウの保全プログラムを策定する上で不可欠なゾウによる人間生活への被害状況調査(HEC : Human-elephant conflictの略)、GPSテレメータを用いた個体追跡、フンなどの生体試料からのDNA情報の抽出、超低周波音声分析、認知機能の解明等を調査目標とした。インドクジャクに関しては、野生個体群のインドクジャクの繁殖システムの全体像を明らかにすることを目標にした。2004年度の調査は、5〜6月(高槻・カムポス)、7〜8月(カムポス)、10月(ランシリーニ)、10〜11月(長谷川・齋藤・末続)、12月(長谷川)、12〜1月(カムポス)の6回にわたって現地調査を実施した。5〜6月、7〜8月の調査では、主にHECに関する調査に重点をおき、スリランカ南部の乾燥地帯のゾウ被害が多発する5地域に現地調査員を配し、毎月の被害状況を克明に記録する体制を作った。さらに12〜1月にフォローアップを行い、被害状況の年変動と地域差について、その規定要因の分析を行っている。アジアゾウの捕獲は条件が厳しいため、なかなか許可が下りず、加えて12月に大津波がスリランカを襲ったため、捕獲調査は中断を余儀なくされ、2005年4月の捕獲に向け準備中である。10月の調査では、被害地域に出没するゾウの糞の収集を行い、サンプルはコロンボのオープン大学に保管した。併行して、国内の飼育ゾウのサンプルを利用した、抽出法の確立をめざしている。10〜11月の長谷川らの調査では、ウダワラウェ国立公園のアジアゾウを対象に超低周波音声を録音した。音圧計を用いた録音をビデオによる行動と重ねて分析中であるが、これまでの飼育個体での解析データと同様の15〜20ヘルツの大きな音声が頻繁に発声されていることが分かった。この時期の調査では、あわせてインドクジャクの配偶行動観察と音声の記録をおこなったが、国内での観察と比して、配偶にかける時間が短い事が示唆された。
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