Research Abstract |
1.モンシロチョウの採集 研究計画に基づき,東アジア(ソウル,北京,上海,広州,台北),中国西部(カシュガル,ウルムチ,アルタイ),ヨーロッパの一部(オランダ,キエフ)およびユーラシア大陸に近接する日本の西南地域(対馬,福岡,豊見城=那覇の南)においてモンシロチョウの雌を採集した. 2.モンシロチョウ幼虫の長日条件下での飼育 採集したモンシロチョウの雌は,中国西部のモンシロチョウを除き,採卵に用いた.これから得られた幼虫は,母親毎に別飼育容器内で紫外色発現条件である長日高温(夏期)条件下で飼育した. 3.紫外色の調査 (1)上記の飼育から得られた雌成虫の翅を切り取り,紫外色の有無を調べた.その結果 (1)福岡のモンシロチョウの雌はごく一部の例外を除いて紫外色を有していた. (2)北京のモンシロチョウの雌はほとんどが紫外色を有していたが,紫外色を有しない雌が少数あった. (3)この2ヶ所以外の地域の雌は紫外色を有しない雌が1/5〜1/3程度認められた. (4)同じ母親由来の雌は紫外色の有無について同じ傾向を示したが,同一の母親由来の娘でも紫外色を有する個体と有しない個体が混在しているケースが認められた. (2)中国西部の雌の紫外色 ・カシュガル,ウルムチ,アルタイでのモンシロチョウの採集は7月末〜8月初めに行ったので,これらの雌は長日条件下で成長したと考えられる.その紫外色の有無について調べた結果 (1)カシュガルの雌はほとんど紫外色を有していた. (2)ウルムチとアルタイの雌はほとんどが紫外色を有していなかった. 4.可視色について 長日条件下で飼育して得られた雌の翅の可視色についても変異が認められた.その中でも豊見城で採集された雌の一部の翅は極めてユニークな淡青色に近い可視色を呈していた.
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