2003 Fiscal Year Annual Research Report
高緯度北極域陸上生態系における炭素循環の時空間的変動の機構解明と将来予測
Project/Area Number |
15405012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中坪 孝之 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助教授 (10198137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 俊之 茨城大学, 理学部, 助教授 (90272351)
小泉 博 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (50303516)
神田 啓史 国立極地研究所, 資料系, 教授 (70099935)
内田 雅己 国立極地研究所, 研究系, 助手 (70370096)
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Keywords | 高緯度北極 / 炭素循環 / 生態系純生産量 / コケ類 / 地衣類 / 維管束植物 / 土壌微生物バイオマス / 遷移 |
Research Abstract |
現地の夏期から秋期に相当する8月初旬から9月中旬にかけて、2名(大塚と研究補助1名)が高緯度北極スピッツベルゲン島スバールバールに滞在し調査を行った。現在までの成果は以下の通りである。 1、広域にわたる植生および土壌炭素量の分布を明らかにするために、氷河先端から海岸まで5本のライントランセクトを設定し、200mおきに植生調査と土壌のサンプリングを行った。植生についてCCA、TWINSPANによる解析を行った結果、遷移の進行にともなう土壌発達のほかに、土壌のpHが維管束植物の分布に影響している可能性が示された。土壌については層別に全炭素、窒素の分析を行っているが、サンプル数が多いため、現在も継続中である。また、土壌微生物バイオマスの指標となる脂肪酸の分析を行うための準備を進めている。 2、携帯用光合成蒸散測定システム(本年度購入設備備品)を用いて、遷移後期に優占するキョクチヤナギSalix polarisとカギハイゴケSanionia uncinataの混生群落における秋期の生態系純生産量(NEP)を測定した。すでに測定が終わっている生育盛期と異なり、秋期では、ヤナギの葉の老化が進む結果、コケの活性がNEPの値を左右していた。すなわち、降雨後のコケの活性が高いときはNEPは正の値(CO_2の吸収)で、明瞭な光依存性を示すが、乾燥してコケの活性が抑制されているときは、NEPの光依存性は小さく、NEPが負になる場合も認められた。 3、地衣類の光合成・呼吸活性と温度、光、水分との関係を調べ、気象データから地衣の生産量を推定するためのモデルを作成し、過去9年間にわたる地衣の生産量の推定を行った。
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