2005 Fiscal Year Annual Research Report
中国大陸南部における新石器時代人の起源についての人類学的・考古学的研究
Project/Area Number |
15405018
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
松村 博文 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70209617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百々 幸雄 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50000146)
篠田 謙一 国立科学博物館, 人類研究部, 室長 (30131923)
米田 穣 国立環境研究所, 化学環境研究領域, 主任研究員 (30280712)
山形 眞理子 早稲田大学, 文学学術院, 助教授 (90409582)
澤田 純明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手
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Keywords | 中国 / 東南アジア / 新石器時代 / ベトナム / 形態 / DNA / 年代測定 / 墳墓 |
Research Abstract |
中国南部から東南アジア地域の人類集団は、更新世後期のスンダランドに由来したとみなされているオーストラロ・メラネシア系集団が、完新世初頭まで東南アジア一帯に広く居住し、現代東南アジア人の多くは新石器時代以降に稲作農耕にともなって中国から南下した北方アジア系集団との混血ないし置換により成立した、とするいわゆる「新石器時代北方アジア系集団移住説」が提唱されている。この仮説は、現在では考古学、言語学、遺伝学などからも強く支持されているが、最近の古人骨形態学からはこのような混血を認めないとする「連続説」を主張する研究者も少なくはない。移住混血説の妥当性を人類学の立場から検証するには、この地域の新石器時代を中心として、その前後の時代をとおしたヒト集団の形質的・遺伝的変遷と生業環境の変化を明らかにすることが肝要である。本研究では、この地域において、研究の要となる新たな先史時代の古人骨資料や考古資料を発掘調査により収集し、形態、遺伝、考古の分野から、上記の「移住説」の総合的な検証をおこなった。本年度は、平成15年度のベトナム北部のホアビン文化期のHang Cho洞穴の発掘調査、ならびに平成16年度のニンビン省の新石器時代Man Bac遺跡の発掘調査によって出土した人骨と動物骨、土器などの文化遺物の整理と分析研究をおこなった。前者の遺跡から出土した人骨のAMS年代測定結果は10,450年前を示した。後者は3500年前ほどの青銅器時代への移行直前の遺跡であり31体の人骨が出土している。両遺跡の集団には形態的に大きな断絶がみられ、Han Cho遺跡の人こつにはオーストラロメラネシア系集団と類似し、Man Bac遺跡の集団は計測値からも頭骨形態小変異からも揚子江流域の前漢集団や日本の弥生人との類似性も示された。また後者の人骨から得たミトコンドリアDNAからは、現代ベトナム人との結びつきが示唆された。これらの種々分析結果は、「移住説」を強く支持するものであった。
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Research Products
(10 results)