2006 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアと南米における絶対寄生菌の隔離分布機構の解明
Project/Area Number |
15405021
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
高松 進 三重大学, 大学院生物資源学研究科, 教授 (20260599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 幸生 富山県立大学, 短期大学部, 助教授 (20104979)
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Keywords | うどんこ病 / 系統 / 進化 / 塩基配列 / rDNA / ITS |
Research Abstract |
1)アルゼンチン・パタゴニアのステップ地帯でLycium chilense(ナス科)葉上にみつけた寄生菌を新種Phyllactinia chubutianaとして報告した。また、以前本菌に対して命名された不完全世代名Oidium insolitumに新組み合わせ名Ovulariosis insolita胎を提唱した。 2)数種の経済的に重要な熱帯樹木に寄生するOidium属Pseudoidium亜属うどんこ病菌間の系統関係を明らかにするため、ゴムノキ、カシュー、カンキツ、マンゴー、Acacia spp.およびBixa orellana上のうどんこ病菌から得たrDNITS領域及び28S rDNA D1、D2領域の塩基配列データを用いて分子系統解析を行った。その結果、それらの熱帯樹木上のうどんこ病菌は互いに近縁であることが明らかになった。それらのうどんこ病菌はまたウバメガシ上のErysiphe sp.を含むE.alphitoidesとも近縁であった。うどんこ病菌は絶対寄生菌であるため、宿主植物との関係は保守的である。しかし今回の研究により、ある特定のうどんこ病菌が広い範囲の熱帯樹木に宿主範囲を拡大したことが示唆された。この研究はまた、北半球温帯地域に分布するあるうどんこ病菌が熱帯の植物に宿主範囲を拡大したことを示唆した。これはうどんこ病菌がいかにして地理的および宿主範囲の拡大を行ったかのよい例となるであろう。
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