2004 Fiscal Year Annual Research Report
ウンカ食害を利用した台湾高級烏龍茶製法の秘密解明への調査研究
Project/Area Number |
15405023
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
坂田 完三 京都大学, 化学研究所, 教授 (20087563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 正治 京都大学, 化学研究所, 助手 (60303898)
清水 文一 京都大学, 化学研究所, 助手 (50324695)
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Keywords | ウンカ茶 / 烏龍茶 / 東方美人茶 / Oriental Beauty / チャノミドリヒメヨコバイ / Jacobiasca formosana / Differential Screening / 2,6-dimethyl-3,7-octadien-2,6-diol |
Research Abstract |
東方美人茶(Oriental Beauty)はチャノミドリヒメヨコバイ(Jacobiasca formosana,通称ウンカ)に吸汁されたチャ葉から作られ、独特な香気を生み出す。この高級烏龍茶の製法の秘密の解明を目指し、天然物化学と酵素・遺伝子の両面から研究を進め、下記の成果を得た。 1)本烏龍茶製造時のウンカの関与の詳細な実態調査を行い、実際にウンカの加害チャ葉が必須であることを確認した。 2)ウンカ食害有り、無しのチャ葉からそれぞれ烏龍茶を製造し、官能検査、香気分析により、加害葉から作られた茶は遥かに香気の豊かなものであることを確認した。さらにこの茶の香気特性も明らかにし、hotrienolおよび関連化合物の2,6-dimethyl-3,7-octadien-2,6-diolはウンカ加害だけでも生成していることが明らかとなった。 3)ウンカ加害および製造工程で誘導される遺伝子をMegasort法によるDifferential Screeningにより網羅的に取得し、ウンカ加害および製造工程中のストレスにより非常に多くの遺伝子の発現が変動していることが明らかになり、その中には多くのストレス応答遺伝子が同定された。 4)それらのうち、raffinoseやabscisic acidの生合成に関する遺伝子に着目した。これらの遺伝子は製造工程中最初の日光萎凋で急激に発現した。実際、それらの化合物をHPLCにより定量的分析を行ったところ、これらは日光萎凋の段階で急激に増加することを確認した。 以上のように、東方美人茶はウンカの吸汁も含めたチャ葉への多くのストレスに対する応答の結果として、香り高い茶となっていることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)