2003 Fiscal Year Annual Research Report
北欧のオルタナティブファーミングに見る21世紀型人間家畜共生システム
Project/Area Number |
15405032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
谷田 創 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助教授 (20197528)
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Keywords | オルタナティブファーミング / オーガニックファーミング / 食の安全 / 家畜 / 家畜の福祉 / 北欧 / 人と家畜との関係 |
Research Abstract |
デンマークでは、従来の農業とは理念においても方法においても異なるオルタナティブファーミングに対する数々の取組みが行われている。中でもオーガニックファーミングについては、その他の北欧諸国と並んでパイオニア的な存在であり、ヨーロッパの最先端を走り続けている。また、オーガニック食品の消費量も世界一である。デンマークがオーガニックファーミングのリーダーとして世界的に認知されるようになるまでには、政府による新しい農業目標の設定、国内における農業の革新、小売チェーン店によるオーガニック市場の開拓、消費者の農業に対する意識変化など、様々な変革がなされてきた。そこで本調査では、デンマークのオーガニック酪農家、オーガニック養豚農家に対して現地調査を行うとともに、オーガニック食品企業、オーガニック製品の小売業、オーガニック農業を監視する政府機関、オーガニック農業団体のすべてについてインタビュー調査を行った。デンマークの国民性は、平等意識とともに国民の団結力が非常に強い点にあると言われている。穀物主体の農業から牧畜へと移行した際にも、全国民が一丸となって協力し合った歴史的背景がある。日本と同様に小さく地下資源に乏しい国であるため、国土の保全に熱心であるとともに、海外に対しても常に新しい市場を開拓するという精神に溢れている。デンマークにおけるオルタナティブファーミングもオーガニックファーミングも、これらのデンマークの精神を象徴しているように思える。また、各農家の熱意とともに、政府の積極的な関与と消費者の農業への積極的な関心が、これらの新しい農業の展開には不可欠であることは明らかである。現在の生産者をすべてオーガニックファーミングに転換することを目指すのではなく、オルタナテイブな方法を常に模索し続けることにより、農業そのものが活性化されるのではないだろうか。
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