2003 Fiscal Year Annual Research Report
Cytolethal Distending Toxin産生性大腸菌の分子疫学調査
Project/Area Number |
15406019
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山崎 伸二 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 教授 (70221653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 定三 大阪府立公衆衛生研究所, 食品衛生部, 統括研究員 (80250314)
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Keywords | CDT / EPEC / 大腸菌 / ETEC / 下痢症 |
Research Abstract |
西ベンガル州立伝染病院に重症下痢症患者として入院した成人と小児から、CDT産生性大腸菌の分離を試みたところ、分離される頻度は少ないものの,CDT産生性大腸菌はそのほとんどが小児から分離された。しかも、O86a、O127a、O142等の特定のEPECの血清型に属すること、eaeA、bfpやEAF等のEPECに特異的な病原因子を保持していることも明らかとなった。一方、バングラデシュにおけるCDT産生性大腸菌の分離状況も、レトロスペクティブな解析から重症下痢症患者から分離された約2000株の大腸菌から8株の大腸菌でcdt-B遺伝子プローブで陽性となった。現在、cdtB遺伝子陽性株の血清型、病原因子について解析を行っているところである。大阪府立公衆衛生研究所と大阪府立大学で保存している大腸菌についてCDT産生性大腸菌の存在をcdtB遺伝子プローブを用いたコロニーハイブリダイゼーション試験で調べたところ、病原性大腸菌(EPEC)98株中、9株でcdtB陽性、毒素原性大腸菌139株中、1株で陽性となったが、腸管組織侵入性大腸菌(EIEC)17株と腸管凝集性大腸菌98株では、cdtB陽性株は見つからなかった。これらCDT産生性大腸菌は、ブラジルでの分離株である。我が国においては、EPECやETECの分離件数がそれほど多くないため、我が国由来の陽性株は、見つからなかったものと考えられる。 さらに、組換えCDT-B蛋白を大腸菌で発現させ、精製後、ウサギに免役し抗体を作成した。その抗体を用いてウエスタンブロッティングを行ったところ、菌株によってCDT-Bの産生量にバリエーションがあることがわかった。今後さらに、ELISA等によるCDTの検出系を作成し、実際CDTがどの程度発現し、病原性にどのように関わっているのか、また、今回初めて見つかったCDT産生性ETECの性状についてさらに詳しく調べていく予定である。
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