2003 Fiscal Year Annual Research Report
数理計画法と確率論の融合によるアルゴリズム理論の展開について
Project/Area Number |
15500008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤戸 敏弘 名古屋大学, 情報科学研究科, 助教授 (00271073)
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Keywords | 近似アルゴリズム / 並列アルゴリズム / 頂点被覆問題 / 連結頂点被覆 / 連結辺支配 |
Research Abstract |
グラフGの頂点被覆とは、Gの各辺の端点の少なくとも一方を含んでいる頂点部分集合のことである。連結頂点被覆問題とは、求められる解が入力グラフGの頂点被覆であることに加えて、Gにおいて連結部分グラフを誘導することが要求される問題である。同様に連結辺支配集合問題(tree cover)では、それに接続する頂点の集合が頂点被覆となるような連結辺集合のうち、最小なものが求められる。いずれの問題もNP困難であり、通常の頂点被覆問題と同等以上にその近似計算が困難であることが知られている。また両問題には、頂点被覆問題と同様に、逐次型の2倍近似アルゴリズムがいくつか知られている。しかし頂点被覆問題とは異なり連結頂点被覆問題(および連結辺支配集合問題)には、近似率を保証する高速な並列アルゴリズムがこれまで与えられていない。しかも既存の逐次アルゴリズムを並列化しても、比較的多量の計算量を要する(NCではなく)RNCアルゴリズムまでしか得られない。 そこで本研究では、連結頂点被覆問題ならびに連結辺支配集合問題に対する2倍近似NC(およびRNC)アルゴリズムを与える。入力グラフがn頂点とm辺から成り、最大頂点次数がDであるとき、NCアルゴリズムはEREW-PRAM上で0(D^2(m+n)/log n)個のプロセッサーと0(log^2 n)時間を要し、一方RNCアルゴリズムの方はCRCW-PRAM上で0(m+n)個のプロセッサーと0(log n)時間(期待値)を使用するだけで、2倍近似を保証できるを示す。
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