2004 Fiscal Year Annual Research Report
数理計画法と確率論の融合によるアルゴリズム理論の展開について
Project/Area Number |
15500008
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
藤戸 敏弘 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (00271073)
|
Keywords | NP困難問題 / 近似アルゴリズム / 主双対法 / 劣モジュラ被覆 / 貧欲法 / 線形計画緩和 |
Research Abstract |
「アルゴリズム理論」において、「(NP困難性という)計算困難性」は由々しき問題として現存し、より大規模で広範な(離散的)問題の計算処理が必要になるにつれ、事態はより深刻である。そこで本研究では、厳密解計算に限定するといった前提をはずし、(1)対象問題のモデル化、(2)モデル上での解計算、という二段階構造をもつ設計論を、来るべきアルゴリズム論の姿ととらえ、その上で解決のせまられている諸問題から以下のテーマに絞って検討することを、その目的とする。 1.線形計画緩和と半正定値計画緩和の記述能力の比較 2.既存の解計算法の拡張 得られた主な研究成果は以下の通りである。 1.グラフの頂点被覆問題に対し、辺や頂点に関する被覆条件を併せ持つ一般化問題を新たに導入し、劣モジュラ集合被覆アルゴリズムを拡張することで、この問題に対する近似度2を多項式時間内で保証できることを示した。 2.2倍以上の開きがある2種類のコストのみが許されているグラフの木状被覆問題に対し、主双対法に基づく2倍近似アルゴリズムを開発した。 3.集合多重被覆問題に対する貧欲法を改良し、同問題に対し近似度H(k)-1/6を多項式時間内に保証できることを示した。 4.被覆型0-1整数計画問題と部分集合問題、およびそれらの特別な場合に対し、高効率で純粋に組合せ的な近似アルゴリズムを設計した。丸め法を用いて得られる最良結果と比較し、その近似性能は一般には同等以上であり、重みつき多重被覆、部分集合被覆、および更なる一般化では、その性能が優ることを示した。 5.部分集合の重みが2種類に限定された集合充填問題に対し、重みなしの場合に有効であることが知られていた局所探索法を拡張し、その近似度が重みなしの場合に得られるものと一致することを示した。 6.生産計画問題のひとつとして容量つき需要供給問題(CSD)を新たに導入し、その構造解析のため、従来の劣モジュラ集合被覆を劣モジュラ整数被覆に拡張した。同時に主双対法に基づく近似アルゴリズムを発展させ、CSDに対し数値データに依存しない近似度の得られることを示した。
|