2003 Fiscal Year Annual Research Report
デフォルト知識を含む論理プログラムの順序化と帰納推論への応用に関する研究
Project/Area Number |
15500092
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
坂間 千秋 和歌山大学, システム情報学センター, 教授 (20273873)
|
Keywords | デフォルト理論 / 多値論理 / 順序化 / 帰納論理プログラミング |
Research Abstract |
一階述語論理においては、与えられた述語理論が含む情報は理論から導かれる論理的帰結として定義される。ここで述語理論の論理的帰結は確定的で、より多くの事実を導く理論ほど情報量が多いと考えられる。一方、デフォルト論理のように一般に不完全な情報を含む理論では、述語論理の場合と異なり、デフォルト理論からの帰結には確定的情報の他に不確定なデフォルト情報が含まれる。従って、デフォルト理論間で情報を比較するためには、デフォルト理論から帰結される異なる種類の情報を区別し、情報量を比較するための枠組が必要になる。そこで本研究では、デフォルト理論に含まれる情報を多値論理を使って種別化する手法を導入した。導入された多値論理は双方向束(bilattice)の構造を持ち、デフォルト拡張に含まれる任意の論理式に多値論理に基づく解釈を与える。次に、こうした多値解釈に基づくデフォルト理論間の順序関係を導入し、異なるデフォルト理論を情報量の観点から相対的に比較するための枠組を定式化した。さらに、本手法を論理プログラミングに適用し、デフォルト知識を含む論理プログラムを順序化する手法を示した。本研究の応用としては、デフォルト知識を含む論理プログラムから帰納推論を行う際に、帰納的一般化の基となるプログラムの順序化の理論を与えることが出来る。また、マルチエージェントシステムのように複数の異なる情報源が存在する状況で、これらの情報源を比較・評価し、より信頼できる情報源を選別し優先的にコミュニケーションを行うといった協調問題解決への応用も考えられる。
|