Research Abstract |
本年度は,カーネル相対主成分分析の応用範囲を広げる研究を行うと共に,カーネル法をヒルベルト空間からバナッハ空間に拡張すること,さらに,カーネル相対主成分分析の前段階である,相対主成分分析の,学習段階と変換段階を同時行う方法に関して研究した。カーネル相対主成分分析の応用範囲を広げる研究では,カーネル法の代表的な方法であるサポートベクトルマシンが不得意とする多クラス問題に関して認識実験を行い,カーネル相対主成分分式の有効性を確認している。さらに,抑制型標本空間射影法よりも計算量を削減できる近似としてとらえることによって,その応用範囲を拡大していく予定である。バナッハ空間カーネル法に関する研究では,昨年度までに一応完成したと考えていた非対称カーネル法が,バナッハ空間カーネル法の理論を構成している過程において,さらに拡張可能であることが分かった。そのため,そのヒルベルト空間における拡張理論の構成を優先して行った。その結果得られた理論は,昨年度までに得られたものより,理論としても明快になり,証明も短くなった。しかしながら,バナッハ空間カーネル法については,今後の課題として残された。主成分分析の学習と変換を同時に行うことは,パターンの特性が変化していく問題を扱うときや,学習パターンの数が限られ,少ない学習パターンの結果をもとに,未知パターンを認識しながら,それを使って学習も行う問題に対して重要である。このような場面において,重みを導入し,多様体の計量を用いて効率的に収束させる方法を考案し,その有効性を確かめている。その他にも,カーネル法の非線形性よりも一般的なものを扱うことができるマハラノビス計量を求める方法に関して研究を行い,昨年度よりも精度良く求めることができるようになった。来年より,標本点からマハラノビス計量を求める研究を行う予定である。
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