2005 Fiscal Year Annual Research Report
人間の視覚情報処理速度における個人差の定量化と加齢の影響
Project/Area Number |
15500147
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
篠森 敬三 高知工科大学, 工学部, 教授 (60299378)
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Keywords | 視覚心理物理学 / 色覚 / 加齢 / 高齢者 / 視覚 / 個人差 |
Research Abstract |
研究目的:高齢化社会に向けて,高齢者に快適な環境に関する要求が年々高まっている。加齢による視覚系能力の低下の観点から,動画や移動物体を見る場合など時間的に短時間呈示の刺激を見る場合における視覚情報処理速度の低下について取り上げる。特に,本研究では,視覚情報処理過程における知覚の部分に焦点をあて,年齢により処理速度がどのように変化するかを中心に,個人差を定量的に求めることを目的とする。 研究内容と実績:本年度実施した実験2「色インパルス応答関数における個人差と加齢効果の測定」については,知覚レベルでの視覚系の時間応答関数を測定する方法として,心理物理学的実験手法である2刺激法を用いた。この時,色インパルスの測定は,最も紫外線領域に近い短波長領域に感度を持つ視細胞である青錐体を対象とした。この青錐体細胞を選択的に刺激する混同色線上の色を被験者ごとに測定して,その色パルスを用いて実験することによって,視覚系の青錐体神経経路の応答を測定した。異なる時間差で2つの刺激を呈示した時の閾値データを解析することによって,被験者ごとの輝度インパルス応答関数を導出した。 実験の結果,年齢の影響を調べるため高齢者を含めた各年齢層で,最終的に49人の有効な被験者(16.8歳-86.3歳で男女ほぼ同数)で実験の実施と色インパルス応答関数の導出に成功した。実験及び分析の結果より,加齢によって視覚応答の強度は,この年齢範囲で44.2%も単調に低下する一方で,年齢による応答速度の低下は,輝度インパルス応答の場合と異なり,全く観察されなかった。これは輝度処理経路でみられた信号強度の低下を足し合わせ時間の増大で補うという加齢変化補償のメカニズムが,色処理経路では行われていないことを示している。これは,日常生活における物体の検出(発見)にはさほど色情報が必要とされていないことを反映しているのではないかと推察できる。
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Research Products
(8 results)