2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15500168
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大浦 容子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40092671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 修次 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 助教授 (80323947)
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Keywords | 音楽演奏 / 熟達化 / 認知心理学 / メンタルモデル / 練習方略 / 合奏 |
Research Abstract |
音楽演奏は、(初見視奏や新曲の練習過程などでない限り)練習過程で練り上げた演奏プランに基づいて行われる。独奏の場合は自分の演奏プランの実現だけを考えればよいが、合奏場面では合奏相手の演奏プランと自分の演奏プランの擦り合わせをして演奏のタイミングの調整を行わなければならない。演奏前の打ち合わせは可能だが、微妙なタイミングの変化などについては言語的なコミュニケーションでは十分なことは出来ないし、実際に演奏が始まってからは(演奏プランの微調整が頻繁に生じるにもかかわらず)言語的コミュニケーションそのものが出来ない。そのため合奏場面では、相手の演奏を聴いて相手の次の行動を予測し、それに合わせて自分の演奏プランを調整すること、つまり合奏相手のメンタルモデルの構築とその利用が必要になる。今年度は、昨年度から始めた「モニターに再生されたチェロ奏者の演奏に合わせてピアノ専攻大学生・大学院生によって5回ずつ演奏されたピアノ伴奏データの分析」をさらに進め、「ぎこちない伴奏者」は伴奏を繰り返してもダイナミクス・パラメタおよびタイミング・パラメタについての調整が安定せず、伴奏部分だけを取り出して聞くと音楽的に不自然な演奏になっていること、それに対して「優れた伴奏者」は相手の演奏への調整が滑らかであるだけでなく、伴奏部分だけを取り出しても音楽的な演奏になっていることを明らかにした。 今年度は、演奏者としての熟達を促す指導法についても検討を行った。優れた演奏をするには楽譜上に明示的に示された情報だけでなく明示的に示されていな情報の読み取りと解釈が必要である。ピアノ専攻大学生10名を対象に、楽曲特徴の読み取りとその表現の工夫を指示する教示の効果を実験的に検討し、5回の訓練セッションを経ただけでも練習方法と練習内容に望ましい方向への変化(演奏プランの構築と検討への積極的態度)が生じることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)