2004 Fiscal Year Annual Research Report
乳児における顔および形態知覚の発達過程に関する実験的検討
Project/Area Number |
15500172
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
山口 真美 中央大学, 文学部, 助教授 (50282257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友永 雅己 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (70237139)
金沢 創 淑徳大学, 社会学部, 助教授 (80337691)
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Keywords | 顔 / 知覚 / 認知 / 発達 / 乳児 |
Research Abstract |
本年度は,乳児の「奥行き」知覚の発達過程に焦点を当て,生後2-8ヶ月の乳児を対象に以下の5つの実験を行なった. 形態知覚:昨年度の研究では,透明視と関係のあるモーダル知覚が生後3-4ヶ月,アモーダル知覚が生後5-6ヶ月に成立することを報告した.今年度は透明視の発達過程,およびモーダル・アモーダル知覚と透明視の関連性について検討した.その結果,透明視の知覚が3-4ヶ月で成立すること,モーダル補完の知覚と透明視の発達時期が一致することが判明した. キャストシャドウによる3次元情報の検討:陰影から3次元情報を知覚するための手がかりの一つであるキャストシャドウを用いて,5ヶ月児と7ヶ月児を対象に奥行き方向の発達過程について検討した.その結果,生後7ヶ月でキャストシャドウによる3次元情報を手がかりとして奥行き知覚を行なっていることが示された. 視線認知におよぼす3次元情報の検討:視線を認知する際に,成人では目だけではなく,顔の向きも含めた全体的な処理によって視線方向を区別している.顔の向きの変化が視線方向の認知に影響を及ぼすかについて6-8ヶ月児で検討したところ,8ヶ月児は成人と同様に顔の向きを含む全体的な処理によって視線方向を認知するという結果を得た. 運動透明視の成立時期:運動透明視の知覚の成立について3-5ヶ月児を対象に検討した結果,生後3ヶ月児で運動透明視の知覚が成立することが判明した.さらに,5ヶ月児では運動透明視に対する感度が成人の感度と同じであることも示された. 顔知覚:成人では低空間周波数フィルターで画像処理した学習顔を,テスト顔で弁別することが困難である.一方で,6-7ヶ月児では,低空間周波数フィルターを施した顔画像に馴化した後,新奇な顔を弁別できるという結果を得た.このことから,乳児の顔の学習システムが成人とは異なることが示された.
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Development of social cognition in infant chimpanzees (Pan troglodytes) : Face recognition, smiling, gaze, and the lack of tradic interaction.2004
Author(s)
Tomonaga, M., Tanaka, M., Matsuzawa, T., Myowa, M.M., Kosugi, D., Mizuno, Y., Okamoto, S., Yamaguchi, M.K., Bard, K.A
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Journal Title
Japanese Psychological Research 46
Pages: 227-235
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