2004 Fiscal Year Annual Research Report
視覚刺激によるミツバチ連合学習における神経情報処理機構に関する研究
Project/Area Number |
15500200
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
池野 英利 兵庫県立大学, 環境人間学部, 助教授 (80176114)
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Keywords | ミツバチ / 条件付け / 視運動反応 / 学習・記憶 / テザード実験 / 飛行制御 / 選択的注意 / 視覚系 |
Research Abstract |
本研究では,ミツバチの採餌行動に見られる記憶について,その獲得の過程および行動への影響について解明を進めていく.本年度は,昨年度開発した微小トルクによる視運動反応計測装置により,ミツバチにおける視覚刺激と視運動反射特性の計測および視覚刺激による条件付けを実施した.その結果,以下のように,半拘束下(テザード)におけるミツバチに関して視覚刺激による条件付け実験プロトコルを確立することができた.この成果は,昆虫視覚情報処理に関与する神経機構の解明に対して新たな実験手法を提唱するものである.さらに,嗅覚刺激などと組み合わせた複合刺激に対する情報処理機構を解析するうえでも有用である. ○ミツバチの視運動反応について,ミツバチ前面に提示した正弦格子画像の空間周波数を変えることによって視覚-行動制御系の空間周波数依存特性を求めた.その結果,前景の空間周波数の上昇に対してトルク応答振幅は減少していくが,応答の遅れに相当する初期位相角には変化が見られないことを示した. ○一方,正弦格子画像の前面に目標となる画像を提示し,背景とは異なる位相で移動させた結果,目標画像への注視が生じた場合にトルク応答の初期位相角に有意な変化が生じることを発見した.この特性を利用し,目標画像の提示と口吻への餌接触を連合して与えることによって条件付けを獲得させることができ,10回の試行によって有意な行動変化として観測されることを示した.この行動変化は1時間にわたり持続しており,また,自由飛行下において同じ目標刺激で学習させた群についても同様の特性を持つことが示された. 提案した新たなミツバチの条件付け実験プロトコルについては,今後,視覚刺激や餌接触の条件について詳細な検討が必要である.さらに,対象とする視覚刺激に対する神経回路応答特性について計測,解析をおこなっていくことがこれからの課題である.
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Research Products
(3 results)