2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15500206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
納家 勇治 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90272418)
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Keywords | 視覚記憶 / 側頭葉 / 干渉刺激 / 長期記憶 / 短期記憶 / 作業記憶 / 単一神経細胞活動記録 / 霊長類 |
Research Abstract |
本研究では霊長類嗅周皮質における長期記憶形成機構を調べるために、長期記憶と短期記憶の相互作用に着目し、嗅周皮質ニューロンが示す持痕性活動と長期連合記憶の形成に関係について以下の電気生理学実験を行った。 延期間中に干渉刺激の提示を行うGO-NOGO型対連合記憶課題を用いて12組24枚のフーリエディスクリプターを2匹のサルに学習させた。対連合記憶課題遂行中のサルの嗅周皮質(特に36野)および視覚連合野(TE野)からタングステン微小電極を用いて単一細胞外活動記録を行った。各ニューロンが示す干渉刺激提示前後での遅延期間中の活動パターンをGLM(General Linear Model)を用いて解析した。その結果、手がかり刺激自身に関係する遅延期間括動(Cue-Holding Activity)は干渉刺激の提示により減弱するのに対し、手がかり刺激のペア(正解として要求される刺激)に関係する遅延期間活動(Pair-Recall Activity)は干渉刺激の提示による影響をあまり受けないことが分かった。さらに干渉刺激の提示後、干渉刺激そのものに関係する遅延期間活動は見られたが、干渉刺激のペアに関係する活動は見られなかった。 これらの知見から、霊長類嗅周皮質は作業記憶として課題で必要とされる情報を能動的に保持する一方で、同時に網膜からの視覚入力を課題の要求とは関係なく受動的に保持することが示された。このことは、長期連合記憶の形成に対する嗅周皮質ニューロンが示す受動的な持続性活動の関与を示唆する。本研究の内容は2004年、2005年(予定)の日本神経科学学会で発表するとともに、現在、投稿論文を作成中である。
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Research Products
(2 results)