2005 Fiscal Year Annual Research Report
ギャップ結合を形成する大脳皮質抑制性神経細胞の3次元構造と機能への関連
Project/Area Number |
15500217
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
福田 孝一 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50253414)
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Keywords | ギャップ結合 / 大脳皮質 / GABA / インターニューロン / 視覚皮質 / コネキシン36 / 電子顕微鏡 / 共焦点レーザー顕微鏡 |
Research Abstract |
平成17年度は本研究課題の最終年度であり、3年間の研究を論文にまとめて国際雑誌に投稿し、受理された。研究目標であったギャップ結合による大脳皮質抑制性神経細胞の3次元的構造と機能への関連性について、以下に述べるようにほぼその目的を達成できた。ギャップ結合が抑制性神経細胞間に多数存在することは既に明らかにされているが、その局所的な存在だけではなく、神経細胞がギャップ結合を介してどのようなネットワークを形成しているのかということは方法論的にも困難な課題であった。この問題を解明する上で、前年度までに確立したコネキシン36とパルブアルブミン(PV)の二重免疫組織化学染色法はbreakthroughとなったが、17年度前半はギャップ結合ネットワークの3次元構造解析の最終段階を実施した。また、PV陽性GABAニューロンの中でコネキシン36陽性のギャップ結合を持たないものがあることに新たに気づき、それが小型の細胞群の中に含まれていることを明らかにした。これに基づき、ネットワークの3次元構造を定量的に検討する際に大型ニューロンに対象を絞り、より現実に即した分析が可能となった。さらに機能との関連性を探る上で実施した、視覚皮質の方位選択性カラムにおけるPVニューロンのトポロジー解析においても、大型ニューロンと小型を分けてその分布パターンを数学的に解析した。3年間の研究によって、大脳皮質の抑制性神経細胞が、ギャップ結合による連鎖を通じて大脳皮質内を側方へ広がる樹状突起のネットワークを形成していることが明らかとなり、さらにこのネットワークは特定の機能的カラムに束縛されないhomogeneousな性質を持ちうることが示された。これらのことは、大脳皮質の神経活動の時間的空間的パターン、特にその同期性を制御すると考えられている抑制性インターニューロンの機能的構造を考える上で本質的な意味を持つものである。
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Research Products
(1 results)