2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路網形成に果たすアクチン細胞骨格制御機構の役割
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15500235
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
星野 幹雄 京都大学, 医学研究科, 助手 (70301273)
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Keywords | 神経細胞移動 / 子宮内エレクトロポレーション / Rac / JNK / 微小管 / MAP1B / Tiam1 / STEF |
Research Abstract |
本研究では、子宮内エレクトロポレーション法を用いて、マウス胚の発生途上の大脳皮質に外来性に遺伝子導入し、その効果をin vivoで観察することによって、Rac1およびその上流、下流の分子の神経回路網形成、とりわけ神経細胞移動における役割について調べようとしている。前年度までに、STEF/Tiam1-Rac1-JNK-MAP1B-微小管というカスケードが神経細胞移動に重要な役割を果たしていることを明らかにしてきた。本年度は、さらにRac1のもう一つのグアニンヌクレオチド交換因子であるP-Rex1が、この発生現象に関与していることを明らかにし、論文として報告した。P-Rex1は発生途上の脳組織の様々な領域に発現が認められ、特に大脳皮質の移動神経細胞で強い発現が見られた。P-Rex1は外界から何の刺激もないと活性がほとんど認められないが、NGF, BDNF, EGFなどの栄養因子を加えるとその活性を増大させて、活性化Rac1を多く生み出ことがわかった。さらには、PC12細胞および大脳皮質の初代培養神経細胞のトランス=ウエルアッセイにおいて、これらの細胞がNGFあるいは、EGF、BDNF依存性に細胞移動する現象に、Rac1の活性化を会する事によって関与していることを明らかにした。また、子宮内エレクトロポレーション法によりP-Rex1のドミナントネガティブ体を導入する実験から、大脳皮質の神経細胞移動にこの分子が深く関与していることが、個体レベルで照明された。従来からBDNFやEGFが大脳皮質での神経細胞移動に関与していると言われて来ているが、以上の結果から、P-Rex1は大脳皮質形成過程において、BDNFやEGFのシグナルを受けて活性化し、Rac1のGTP結合型への変換を介して、神経細胞移動に寄与しているという現象が示唆された。
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Research Products
(5 results)