2005 Fiscal Year Annual Research Report
脱髄型ギランバレー症候群の髄液抗ヘリコバクターピロリVacA抗体と標的分子の解析
Project/Area Number |
15500242
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
千葉 進 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (30167514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 敏郎 富山大学, 医学部, 教授 (00196768)
今井 富裕 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40231162)
野中 道夫 札幌医科大学, 医学部, 助手 (50363685)
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Keywords | ギランバレー症候群 / ヘリコバクターピロリ / 抗VacA抗体 / 髄液抗HSP抗体 / 自然免疫応答 |
Research Abstract |
目的と方法:我々は、脱髄型ギランバレー症候群(GBS)の髄液中に抗ヘリコバクターピロリ(H.p)VacA抗体を検出し、その標的分子の候補ペプチドを同定した。H.pの慢性感染と急性疾患であるGBSの関連を検討するため、GBS患者36名を対象とし、自然免疫と獲得免疫をlinkさせる分子である種々の熱ショック蛋白(HSP)に対する血清・髄液中抗体をELISA法により測定した。抗原としたHSPはHSP27、αA crystallin and αB crystallin、mtHSP60、cytosolic chaperonin CCT、mycobacterium bovis HSP65、Escherichia coli GroEL、HSP70、HSC70、HSP90の10種類とした。疾病対照として運動ニューロン疾患(MND)18名の患者髄液、GBS 28名、健常者14名の血清を用いた。 結果:血清ではいずれのHSPに対する抗体もGBSと健常者間に有意な差はなかったが、髄液中抗体価はMNDと比較し、すべてのHSPに対する抗体の有意な上昇を認めた。吸収実験の結果、HSP27、αA crystallin、αB crystallinに対する抗体は、HSP27によってそのほとんどが吸収され、髄液中のHSP27 familyに対する抗体は、HSP27に対し、最も親和性が高かった。また、E.coli GroEL、M.bovis HSP65に対する抗体は、互いの抗原で吸収されたが、HSP60、CCTに対する抗体は、E.coli GroEL、M.bovis HSP65によって吸収されなかった。従って、髄液中の抗chapernin抗体は、哺乳類由来の特異的なepitopeに対する抗体と、細菌由来の特異的なepitopeに対する抗体がともに存在することが示唆された。臨床像との対比では、αB crystallinに対する髄液中の抗体価は、脱髄型より、軸索型GBSに高い傾向がみられた。 結論:GBSの発症に先行し、種々の細菌・ウイルス感染症が観察される。検出された髄液中抗HSP抗体には、細菌由来の特異的epitopeに対する抗体も含まれており、GBSでは感染に伴う自然免疫応答が、HSPを介した抗原提示機構を修飾し、抗H.p VacA抗体の誘導を含む獲得免疫の形成に影響を及ぼす可能性が推測された。
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Research Products
(3 results)