2005 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類の神経系における高親和性コリントランスポーターの局在解析
Project/Area Number |
15500246
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
松村 譲兒 杏林大学, 医学部, 教授 (90173880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 靖 防衛医科大学校, 医学教育部, 教授 (00195819)
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Keywords | 霊長類 / 中枢神経系 / 神経筋接合部 / in situ hvbridizadon / 免疫組織化学 / 電子顕微鏡 / アセチルコリン / トランスポーター |
Research Abstract |
平成17年度にわれわれは以下の課題について解析を進めた。 1.マカクザル中枢神経系における局在解析 a.昨年度に引き続き、脳における局在を解析するための例数を増やして所見の確認を行った。 b.脊髄前角の運動ニューロンにおいて、かねてからα運動ニューロン細胞体の間に高親和性コリントランスポーター(CHT1)タンパクの局在量の差が著しいことを報告していた(Kobayashi et al, Neurosci Lett 317,25-28,2002)。今回、運動ニューロンの体部位局在に着目し、従来の報告ならびに齧歯類でのわれわれの所見を総合することにより、固有背筋支配と体肢筋支配のα運動ニューロンで、細胞体のCHT1分布量が異なることを見いだした。固有背筋支配のα運動ニューロンは常に細胞体に高濃度のCHT1を持つのに対して、体肢筋支配のα運動ニューロンはCHT1の細胞体分布量が少なく、しかも細胞によって変化が大きいという所見を得た。 2.シナプスにおけるCHT1タンパク局在の超微形態的解析 愛媛大学医学部解剖学第一講座の松田正司教授と共同で、CHT1のマカクザル神経筋接合部における免疫電顕による解析を継続している。この研究では、膜構造の保存に必要な固定剤の濃度と、抗体反応を可能にする濃度の両立が困難であり、シナプス小胞との関係が十分に確認できていない。そのため、ラットで従来唱えられている、CHT1がシナプス前膜ではなく小胞に局在してアセチルコリン放出時にシナプス前膜に移行するという説が、霊長類においても成り立つかどうかを検証するには至らなかった。この点を補うために、防衛医科大学校解剖学第二講座中田隆博助手と共同で、ラットを用いて別の種類のシナプス(脊髄前角運動ニューロンに接続するコリン作動性シナプス)を解析し、ここではシナプス小胞に局在するという確実な所見を得た。 以上の結果は現在論文として投稿準備中である。
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